「本田は誰よりもチャレンジしている」 戸田和幸が見た走り続ける男の2014年

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個性を生かすならキャプテンではないほうがいい

積極的に物事を発信していく本田の個性を生かすのであれば、キャプテンではないほうがいいという 【スポーツナビ】

――長谷部(誠)選手が代表に戻ってくるまではキャプテンも務めていました。キャプテンとしての資質・振る舞いはどう見ていましたか?

 僕は伝え聞くことしか知らないのですが、基本的に(本田は)積極的に物事を発信していくタイプの人間だと思います。ということは、今あるものを時には破壊しないといけないこともあります。それをキャプテンという人間がやったほうがいいのか、そうじゃない人間がやってキャプテンがまとめていくのがいいのか。僕は後者のほうがいいと思います。本田も周りとすごくコミュニケーションを取っていると思いますし、別に好き勝手に言っているわけではない。できるかどうかの問題ではなくて、本人の持っているキャラクターをより生かすのであれば、キャプテンではないほうがいいです。特に日本人の場合、発信していくことができる人間のほうが少ない。だから、チームにとって必要なことはこうじゃないかと言える人は、それを存分にできる位置に置いたほうがいいと思いますね。自分が言っちゃったときに、「だっておれがキャプテンだ」というのが出てくる。

――影響力が大きすぎるということですか?

 そうそう、もうちょっと気楽な位置にいたほうがいい。だから、長谷部みたいな人がキャプテンでいてくれたほうがいいのではないかと思います。

本田には賢さと客観性がある

賢さと客観性を持つ本田は、これからも常にチャレンジを続ける 【写真:Enrico Calderoni/アフロスポーツ】

――本田選手のキャリアにとって今年はどんな1年だったと思いますか?

 まずミランに移ったのが大きなイベントですよね。今までは想像の中でしかなかったものが、現実として目の当たりにしたときにいろいろと考えたと思います。その中で、今まで自分が追い求めていた形でW杯に臨んで、打ちのめされたと思うんですね。ミランでも(昨シーズンの)難しさを感じる中で、今のスタイルというか自分に新たに足さなければならないものを見つけたのでしょう。それをプレシーズンからトライしつつ、結果を出してきているのかなと思います。

 彼の場合はリスクを背負って、常に誰よりもチャレンジをしてきている選手だと思います。やはり、大変な作業をしているなと思いつつ、すごいなと思うし、簡単には倒れない人間だなと思います。必ず何かを前向きに捉えて、目の前の出来事にぶつかっているからこそ、肌で感じるものも多いと思うんですよね。自分で探すと思うから受身にはならない。たとえ結果がどちらに転んでも、その中で自分にとって必要なこと、足りなかったことは何だと探す人間だと思います。それができる姿勢がまず素晴らしいのと、やはり賢さと客観性があるなと思いました。この前のミラノダービー(11月23日、1−1)直後のインタビューでも淡々と話していましたけれど、自分のことを試合直後なのにちゃんと評価できていて、それを言葉にできる賢さがあると思いました。なかなかできることじゃないと思うし、友達になりたいなと思います(笑)。

――最後に少し未来の話を。本田選手は32歳でロシアW杯を迎えます。何か変化が必要でしょうか?

 そのときにはまたポジションが変わっているかもしれませんね。現在はアタッカーとして勝負していると思いますが、今インサイドハーフに入ってもできますから。チームが変われば変わるかもしれませんが、仮にポジションがインサイドハーフになっても生きていけると思います。32歳になったときにどこのポジションをやっているのかは……本人にできることが多いので分かりません。ひょっとしたらポジションが変わっているかもしれませんし、他の選手が出てくるかもしれません。そこの競争も大事だと思います。

(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)

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