オリ伊藤光、涙の理由「またこれか」 あと一歩の野球人生…来年こそは必ず

米虫紀子

終盤勝つためには前半の抑え方が重要

「序盤の戦いをバッテリーとしてどう抑えるか」。今季の経験から、伊藤はその重要性を説く 【写真は共同】

――今年の経験を来年どのように生かしていきますか?

 終盤戦に勝つためには、前半の80〜90試合目くらいまでの戦い方を、バッテリーとしてどうやっていくかが重要だと感じました。前半戦にピッチャーの投球や僕の配球で、いかにインパクトのある抑え方ができるか。そうすることで、終盤戦の試合の中で違うことをしたときに相手は迷う。今年の終盤、勇気を出してちょっと違う配球や組み立てをしてみたときに、それを感じました。

 逆に自分がバッターでも、前半戦にインコースを攻められて抑えられると苦手意識が残るから、終盤の首位争いの中で、外だけで組み立てられても、「いつかインコースに来るだろう」と思ってしまって、なかなか捉えきれない。「あれ? 結局(インコースに)来ずに終わったな」という感じでした。「いつ、あの変化球が来るかな」と考えてしまったり。そうやってバッターが勝手に迷ってくれるので、そういう作業は大事だなと感じましたね。

――先を見据えて布石を打っておくということですか?

 特に(北海道)日本ハムを見ていて感じました。今年の終盤、日本ハムは3位でのクライマックスシリーズ(CS)進出が濃厚だったので、CSを見据えた戦い方をしていたように見えました。僕らが勝っていても、早い回から勝ちパターンのピッチャーが投入されたり、糸井(嘉男)さんだけにワンポイントで左ピッチャーを出してきたり。ピンチのときにはこの投手が来て、どう抑えていくか、というのをそこで見せられると、やっぱりそれが印象に残ってしまう。

 その試合には勝ったんですが、なんだかスッキリしなくて、すごく変な気持ちになりました。CSまで考えて今やっているんだなと感じて、実際それが日本ハムはCSにつながっていたんじゃないでしょうか。僕らは優勝争いをしていて、勝つことだけを考えていたので、そういう余裕はなかったし、優勝するのが一番なんですけど、短期決戦で勝つための準備というのを思い知らされましたね。

――来年は勝ち方にもこだわると。

 ただ勝つだけ、というのは、自分の中ではもうないかなと思っています。勝つのは大前提ですが、どうやって勝っていくかが重要。それに、来年は「負けないように」ということにこだわりを持ちたい。今年オリックスは勝ち星ではリーグ1位(80勝)だったんですが、ソフトバンクは引き分けが多く、勝率で上回って優勝できた。負けるかもしれない試合を引き分けで粘ることがソフトバンクはできていて、そういう差が最後に出るんだなと感じましたから。

WBC、五輪……国際大会も目標の1つ

――11月には侍ジャパンのメンバーとして日米野球にも出場しました。どのような印象を受けましたか?

 国際大会ならではの難しさがあって、キャッチャーの場合は、普段受けたことのないピッチャーの良さをどうやってすぐに引き出すか、審判のストライクゾーンの違いにどう対応するかなど、試合の中で素早くいろいろなことを判断する力が必要だと感じました。日の丸を背負うチームは、本当に勝つことだけを期待されているので、プレッシャーはシーズン中とはまた違うものでした。

 その中でメジャーリーガーをどうやって抑えようかと考えて、結果的にスタメンで出た試合(第2戦と親善試合)で勝てたことは素直にうれしかったです。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)などの国際大会に自分は選ばれたいと思っているので、今後にもすごく役立つ経験になったと思います。

――国際大会といえば、2020年東京五輪で野球が正式種目に復活するかもしれないという話も出ています。

 復活してほしいですね。そういうところに出て野球をすることは自分の夢でもありますし、五輪のメダリストというのはちょっと憧れがあります。五輪に野球が復活してくれれば、そこに選ばれたいという気持ちで、またモチベーションも上がると思います。1年1年、頑張って積み重ねていかなければ評価されないので、そこに選ばれてもおかしくない選手になれるように頑張っていきたいですね。

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著者プロフィール

大阪府生まれ。大学卒業後、広告会社にコピーライターとして勤務したのち、フリーのライターに。野球、バレーボールを中心に取材を続ける。『Number』(文藝春秋)、『月刊バレーボール』(日本文化出版)、『プロ野球ai』(日刊スポーツ出版社)、『バボちゃんネット』などに執筆。著書に『ブラジルバレーを最強にした「人」と「システム」』(東邦出版)。

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