新たな異種格闘技イベント「巌流島」発足=谷川貞治氏とフジテレビが再び合体

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大会実行委員長を務める馳浩。2020年に行われる東京オリンピック・パラリンピックを前に「格闘技のレガシーを作りたい」と意気込みを語った 【スポーツナビ】

■馳浩(実行委員長・レスリング代表)
「2020年へ向けて格闘技のレガシーを作りたい」


 かつてのプロとしての戦いが最近ちょっと下火になったなぁというのがあった。2020年のオリンピック、パラリンピックの東京大会を前にして今一度新たなコンテンツとして格闘技のジャンルを立ち上げたいという意味で実行委員会が立ち上がった。

 今まではこちらからファンの気持ちを読みながら、ルールやマッチメイクを提供していたが、ネットの時代ということもあって、ファンの皆さんにも参加していただく。勝敗がはっきり決まるような、“やるか、やられるか”の緊張感を味わえるようなルールを、ファンとともに作り上げていきたい。

 今回立ち上げる格闘技の名前は『巌流島』。この大会をブランド化していきたい。相撲も強い、柔道も強い、ラグビーも強いなどそれぞれのジャンルを極めた方たちに参加いただいて、それぞれのジャンルのプラスの面を発揮できるような戦いで、お見せする以上は見ていて面白くないと意味がない。見ている人が俺もやってやるんだという気持ちになるようなものにしなければいけない。

 戦いの緊張感は“やるか、やられるか”。そういうものを作り上げて日本が世界に発信していきたい。2020年のオリンピック・パラリンピックに東京が決定したが、2020年に向けて格闘技のレガシーを作っていきたいと強く思っている。

 日本レスリング協会の副会長という立場もあって、今年の世界選手権を見てきた。アクションしない選手、コンタクトをしない選手はどんどんレフェリーから注意される、攻めているほうが有利になるというルールで、面白かった。実は2年前まではレスリングが五輪から外されそうになったときに、膠着が多い引き分けが多いルールだったので、大幅にルールを変更した。

したがってコンタクトしなきゃダメ、アクションをしなきゃダメ、それをもっと促さないといけないと考えると、間合い次第かな、と。間合いを詰めて自分優位の展開に持っていくことができるか。そういう意味で、アクションがあって、コンタクトがあって、仕留めるということが、見てるほうからすれば動きがあって面白いんだろうな、と思う。

実行委員を務める柔道代表の篠原と立ち技格闘技代表の魔裟斗は仮想ルールを早速シミュレーション 【スポーツナビ】

■旭道山(相撲代表) 
「大きいから強いというわけではなく、小さくてもチャンスある」


 私の体重のマックスは106キロ、曙は200キロ、小錦は300キロ。それを相手にしていた。小さくてもチャンスがある。大きいから強いというわけではない。

 今までは後ろにロープがあったけど、それがないということで、私から言えば背水の陣だと思う。そこで戦うということで、『巌流島』といい名前をつけてもらった。

■魔裟斗(立ち技格闘技代表)
「シミュレーションしてみたけど打撃が最強だと思う」


 今の格闘技、総合格闘技を見ても立ち技中心。僕は立ち技が最強だと思っていて、丸いリングは直径8メートルぐらいって聞いているけど、大体8メートルもあれば、立ち技の選手は落とされない。回ることができる。

 僕はもちろん出ないけど、勝手に皆さんと戦うことをシミュレーションしたが、その結果やっぱり立ち技が強いんじゃないか、と。たとえば篠原さんが来たらこう回ってパンチを出して、ヨシッみたいな。やっぱり打撃が最強だと思う。

(道着については?)道着を着たときに袖があるとパンチが出しにくいなという感覚があると思うけど、袖がないということだとあまり関係ないかな。もちろん立ち技の人はつかまえられたら弱いと思うので、そこをいかにつかませずに戦うか。

 僕のイメージだとステップを踏みながら一気にパンチや蹴りで飛び込んで、打撃を知らない選手なら簡単に当たるので、そこでヒットアンドアウェー、もしくはあごに一発当てて一発で倒す攻撃が大事じゃないかなと思う。

■篠原信一(柔道代表)
「道着を着れるということで柔道経験者は有利」


 そんなに格闘技を今まで見ていたわけじゃないけど、ただ見てる中で、(総合格闘技は)基本は裸なので柔道出身者は投げにくいなと思っていた。今回は道着を着ることで、柔道を経験している人が大会に出るとすれば、かなり有利になるんじゃないか。

 私なら一発、二発我慢してとりあえずつかまえる。持てばどうにか投げられるぞ、と。柔道家が出るかどうかは別にして、私ならそうするなと思った。

(袖がない部分は?)皆さんのイメージ的にはひじの下をつかんでいると思うけど、脇のところも握って柔道するので、そこら辺は問題ない。

実行委員で紅一点の山本千尋は中国武術代表 【スポーツナビ】

■内田順久(空手代表)
「打撃が最強というイメージでこの場に参加させてもらっている」


 五輪候補に入っている伝統派の空手とフルコンタクトの両方やっているけど、魔裟斗さんと一緒で打撃系が最強だというイメージを持って、この場に参加させてもらっている。
 フルコンタクト空手は間合いをつめて顔面なしでたたきあうルール。伝統派は顔面を想定した上で、そこから少し遠い間合いから飛び込んで相手を倒すということでルールを設定している。近づいてもOK、離れていても間一髪で入って一撃で倒す。やはり打撃が一番強いイメージを持っている。

■平直行(総合格闘技代表)
「攻めないならマイナスにするというルールを作ればいい」


 自分の技を出すよりはやられたくないということで、現代の総合格闘技では、どうしても膠着してしまう。僕は業界が長くて格闘技ブーム以前からやっていて、当時は暗黙のルールがあって、つまらないことをしたら次はないというルールでやってきた。

 現行はいかに自分がやられないか。それなら自分がプロとして上がる意味がないと思うので、「攻めていかないならマイナスにするよ」というようなルールを作れば個人的にはいいと思う。

■松本天心(サンボ代表)
「サンボは戦場でいかに生還するかの格闘技」


 サンボというのは競技のサンボとは別で、戦場格闘技のコンバットサンボというのがあって、古くは第二次大戦の独ソでソ連を勝利に導いた戦場の格闘技だった。戦場で相手を倒していかに生還するか。サンボにはそういうのを身に着けている選手がいっぱいいる。
 このルールって格闘技の身体能力を持った選手が勝ち残るという意味では、戦場格闘技に近いんじゃないかなと思っている。格闘技とは別の面白さを見せられるんじゃないかなと思う。

■山本千尋(中国武術代表)
「中国には隠れたマスターもたくさんいる」


 私たちの中国武術は本当に誰かと対戦するわけじゃなくて、自分たちの格好いい型を見せて得点を出すスポーツ。このルールみたいに実戦で使うとなると、中国にも隠れたマスターもたくさんいると思う。

■斎藤祐也(ラグビー代表)
「ラグビーは身体能力の高い選手が多い。僕も準備しておく」


 ラグビー選手は世界的に見ても身体能力の高い選手が非常に多い。ニュージーランド代表のオールブラックスでいうと、身長2メートル近くて、体重が120、130キロあるけど、100メートル10秒台で走る選手も多い。こういった異種格闘技ということで、ラグビー選手ら球技からでも活躍できる楽しみなルールじゃないかな、と思う。僕も準備しておく。

同イベントの番組MCを務めるお笑い芸人の千原ジュニア。自身もボクシングをやるなど格闘技の造詣も深い 【スポーツナビ】

■舞の海秀平(VTRで出演・相撲代表)
「相撲の技術を披露できる新たな戦いの場」


 実はこれまでの異種格闘技は相撲にとって不利を感じる部分もあったのも本音。しかし、今度立ち上げる新たな格闘技『巌流島』は、あらゆるジャンルが公平に戦えるルールを目指すということで、われらが相撲の技術を披露できる新たな戦いの場であると考えている。それと同時に相撲の新たな可能性を広げるチャンスだと思っている。

■河口(VTRで出演・アメフット代表)
「アメフットのタックルを生かせるようなルール作りをしたい」


 格闘技にもいろいろ専門性があって、それぞれのルールの中で戦えないといけないのが今までだった。いろいろなスポーツに公平なルールでやってみたらどうなるか。まったく新しいスポーツということで、いろいろ個人的にも興味を持っている。

 アメフットといえばタックル。タックルを生かしたようなルール作りができればな、と思う。僕らフットボール選手のタックルを生かして、今までのルールだったら正直立ち向かえないような相手でも何とか勝利できるんじゃないかな、と。いろいろルールの面でも提案していきたいなと思っている。見ていてわかりやすい、面白い格闘技ができたらなと僕自身も期待している。

■千原ジュニア「一格闘技ファンとしてうれしく思う」

 一格闘技ファンとしてここ数年少し寂しい思いをしていたけど、昨年の年末にフジテレビさんでいろいろな格闘家、スポーツ選手を集めて腕相撲をする生放送の番組があって、そこで僕は生放送ということを利用してどうしても我慢できず、「フジテレビさん、腕相撲しているより格闘技やったほうがいいんじゃないですか」と一言放り込ましていただいた。その言葉が届いたようで、こんな一大プロジェクトが動き出したということで、このプロジェクトにゼロから立ち会えるということで、一格闘技ファンとしてうれしく思っている。

 実行委員会の顔触れが豪華? 楽屋に勢ぞろいしたところに一歩入って、きびすを返そうと思ったけど、こんな面々がそろうことはないので、フジテレビさんがいかに力が入っているかのあらわれだと思う。

■『巌流島・実行委員』メンバー
馳浩(実行委員長・レスリング代表)、篠原信一(柔道代表)、魔裟斗(立ち技格闘技代表)、旭道山和泰(相撲代表)、舞の海秀平(相撲代表)、平直行(総合武術代表)、松本天心(サンボ代表)、山本千尋(中国武術代表)、内田順久(空手代表)、河口正史(アメフット代表)、倉本成春(武術代表)、斎藤祐也(ラグビー代表)

■『巌流島』実験大会
2015年2月28日(土)東京・ディファ有明/開始17:00〜

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