カラダを大きくしたい! ベンチプレスの基本知識 了徳寺大学「女子トレ部」 第5回

IRONMAN

競技ベンチのフォームを実践

【IRONMAN】

 競技で大切なのは“止める”ことだそうです。スタート、ボトム、フィニッシュの各ポジションで静止しなければいけません。普通のベンチプレスでは、胸でバウンドさせている人が多いのですが、これは反則で記録になりません。

 競技ベンチプレスのフォームは意外と実践していない方が多く、実践するだけで記録が上がることもあるそうです。肩甲骨を寄せて胸を高くし、腰とベンチ台の間に手の平が入れば大丈夫。お尻がベンチ台から離れないようにすることもルール上大切です。

高重量を取り入れるメリット

 おすすめの練習方法はとてもシンプル。できる限りベンチプレスをトレーニングに取り入れ、高重量を扱う機会を増やすことです。

 今まで私が見てきた女性は重いものを持ちたがらず、とりあえずの10回3セットをこなすだけの方が多い印象でした。ベンチプレスはバーを持つのも大変な女性が多いと思いますが、続けていけば必ず回数も重量も増えていきます。そうなったときに自分の1RM(1回に挙上が可能な最大の重量)を知るという意味でも、重さに慣れるという意味でも高重量を扱ってほしいと思います。

まずはおさえよう! 競技ベンチプレスの基本

 競技ベンチプレスは、パワーリフティング3種目(スクワット・デットリフト・ベンチプレス)のうち、ベンチプレスのみの記録で競い合います。一人3回試技を行い、一番重い重量を上げた人が優勝、同重量だと体重が軽い人が優勝とシンプル。バーの握り方や上げ方など細かいルールはありますが、トレーニングをしたことがあれば始めやすいスポーツです。

 普段行うベンチプレスと異なるのは
(1)グリップ幅が広い
(2)アーチが高い
(3)止め上げをする
という点です。

 また、強烈に反発する生地でできた、ベンチシャツと呼ばれる服を使用することによって挙上重量が跳ね上がります。重量級のトップ選手だと普段の1RMより100kg以上上げることも可能になるのですが、これを着用することをフルギア、何も着用しないものをノーギア(リストラップ、リフティングベルト可)と呼びます。(みさと)

これを知ればあなたも通に!? 競技ベンチプレスのルールとポイント

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【競技ベンチプレスのルール】

(1)ベンチ台にあおむけになり、スタートポジション

 ラックからバーを外し、スタートポジションをとりますが、そのときに頭・両肩・お尻がベンチ台に触れていること、両足の靴底全面が床についていること、手幅がバーの外側のライン(81cmライン)を越えていないことなどがチェックされます。

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(2)「スタート」、「プレス」、「ラック」の合図を守る

 スタートポジションを作ってから動きが静止した時点でかかるレフリーの「スタート」の合図でバーを降ろします。バーを胸の位置で静止させ、レフリーの「プレス」の合図で押し上げます。フィニッシュポジションでも静止させ、「ラック」の合図でラックに戻します。合図の前に動作に入ってしまったり、「プレス」の合図後にバーを胸に沈めてしまったりすると失敗。

フォームを意識して競技ベンチプレスにチャレンジしていきたいです!(長岡由さん) 【IRONMAN】

【記録を伸ばすポイント】

・アーチ
 肩甲骨を寄せて胸を高く上げ、腰とベンチ台の間に手の平が余裕で入るアーチを作ります。肩甲骨を寄せる利点として大胸筋の関与が増加し、力を発揮しやすくなること。お尻や肩をベンチ台にしっかりつけることもルール上大切なポイントになります。

・ワイドグリップ
 グリップをいつもより広く握ってみましょう。握ったときに手首が倒れやすいので、前腕の骨にバーを乗せる意識で手首を立てましょう。また、女性は背の低い方が多く相対的に手も短くなります。そのため広い幅で握ろうとすると手首が内側に倒れやすくなり、手首を痛める原因になるので、高重量を扱うときはリストラップをすることをお勧めします。

・エブリデイベンチ!
 できる限りベンチプレスをトレーニングに取り入れるのですが、試しに1〜2回くらいしか上がらないものにもチャレンジしてみて! きっと新しい刺激になるはず。ちなみに、変化のないトレーニングは頭打ちになりやすいので、私は練習ではMAX かそれに近い重量で、大会後のオフのときは通常のベンチで筋量を意識してトレーニングしていました。

今後重量や回数を増やしていけそうです!(安部華那さん) 【IRONMAN】

今月の女子トレ部員 クローズアップ

【IRONMAN】

みさと(22歳)
パーソナルデータ
・了徳寺大学整復医療・トレーナー学科助手
・2014年世界ベンチプレス選手権ジュニア女子の部57kgで115kgに成功し2位に入賞。
・柔道整復師、CSCS、アスレティックトレーナー、健康運動指導士、中高保健体育教諭の資格保有。
・熱血指導で部を引っ張る女子トレ部のリーダー

Q:ベンチプレスを始めたきっかけは?
A:アルバイトをしていたスポーツクラブにベンチプレスの競技をしている方がいらっしゃったことです。長く続けるつもりはなかったのですが、女子トレ部ができたことで継続しようと思うようになりました。岡田隆先生に世界大会を目指すことをすすめていただいて、ノーギアからフルギアへ転向を決意。フルギアを始めて1カ月で全日本ジュニア選手権で優勝することができ、2013年にリトアニアで行われた世界選手権出場を決めました。

Q:世界選手権ジュニアの部57kg級で2位に入賞! すごい! 感想は?
A:前回の世界選手権は3位、今回は2位に入賞できましたし、自分の記録を更新することができて良かったです! たくさんの出会いもありました。Tシャツを交換したりFacebook? Facebook?と聞いてもらったり、英語ができなくても競技を通じてコミュニケーションがとれました(笑)。

Q:食事やサプリメント摂取で気をつけていることは?
A:食べ過ぎないように気をつけているくらいです。練習後はおにぎりなどを食べますが、プロテインは取っていません。大会前にはクレアチンを取っていて、80〜90kgに挑戦するときに、体が軽く感じるようになりました。

Q:競技ベンチプレスの魅力は?
A:ベンチプレスは代謝を上げたり、バストラインにメリハリをつけたり、女性にとってもうれしい効果満載です。ただの筋トレとしてではなく、スポーツとして向き合うことで、トレーニングに対する意識が変わってくると思います。ただ単に痩せたいという漠然とした目標を持ってうまくいかない方は、こういった競技にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。

Q:目標を明確にすることでやる気も湧くよね! では、今後の目標は?
A:やっぱりノーギアで3桁、100kgは上げたいです。そして、今後は体を絞って階級を下げることも考えています。まず、ボディメイクのためにもベンチプレスをしていきたいので、トレーニングやベンチプレスの魅力が伝わるよう、説得力のある体をつくっていきたいです。

■Shieca(シエカ)
フィットネス・ライフ・コーディネーター。運動経験ゼロであったが、体型の崩れをきっかけに27歳で筋力トレーニングを開始。女性らしく鍛えられたカラダで健康的な美しさを競うフィギュアコンテスト「JBBFボディフィットネス」に出場し、東京・関東(初代)・東日本(初代)大会チャンピオンとなる。2010年に全日本大会準優勝、11年には東アジア選手権代表に選出される。実体験に基づき、トレーニングや食事など日々のケアを提案している。

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著者プロフィール

毎月12日発売。発行は株式会社フィットネススポーツ。1990年の創刊以来、約四半世紀の伝統を誇るウエイトトレーニング&スポーツニュートリション専門誌。米国を中心とした海外の最新の研究に基づくトレーニング法や栄養情報を紹介している。また日本国内のボディビル、パワーリフティング大会の試合レポートや、ウエイトトレーニングを取り入れているアスリートやトレーナー情報も掲載している

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