追い込まれたロイヤルズに策はあるか? 原点回帰で青木に期待する手も……

杉浦大介

激闘シリーズはカンザスシティで決着へ

青木は8打数無安打といまだ快音は聞かれず。第3戦以降はスタメンを外れたが、チャンスがあれば意地を見せたい 【Getty Images】

 しかし……王手をかけられた状況で、再び本拠地で迎える第6戦では、ロイヤルズは元のスタメンに戻すのも良いのではないかとも思える。

 9月20日以降、ワールドシリーズ第3戦に至るまで、ロイヤルズは同じラインアップで勝ち続けた。プレーオフではワイルドカード戦での大逆転勝利から始まり、奇跡的な8連勝。ただ、そんなチームもDH抜きの新打線では1勝2敗と負け越し、特に第4戦の4回以降は15イニング連続で無得点に終わり、いよいよ1敗もできないところまで追い詰められてしまった。
 第6戦で先発を任せるヨーダノ・ベンチュラは疲れを隠し切れず、過去2戦では6回もたずに降板している。時を同じくして、ジャイアンツ打線は過去2戦で合計28安打と最高のタイミングで調子を取り戻している。

 そういった状況下では、ロイヤルズもジャイアンツの先発ジェーク・ピービから少なからずの得点を奪う必要がある。それならば……この土壇場で、原点回帰も悪くない。打撃面では拙さは否めないダイソンに代わり、実績ある日本産のプロフェッショナルヒッターのリベンジに期待する手もあるはずだ。

「(第5戦の敗戦直後から)“次の試合だ”という声も(ロッカーで)聞こえてきていた。最後までそういう気持ちでいいと思う。引きずる必要なんてまったくない。あと2つ勝てばいいだけだから、とにかく次を取れるように」

 そう決意を固める青木、指名打者として先発復帰するビリー・バトラーは、ミラクル・ロイヤルズに新たなエネルギーを注ぎ込めるか。リーグ優勝決定シリーズから続けて11打数無安打を続ける青木は、最後の意地を見せられるか。

 接戦の連続でベースボールファンを喜ばせてきた激闘シリーズは、カンザスシティの地で決着する。まずはヨスト監督が、どんな打線を組んでくるかに注目。そして、第7戦までもつれ込んだ場合、リリーフ登場も考えられるバムガーナーと青木の再びの対決が実現しても不思議はない。

 泣いても笑っても、最大であと2試合――。過去5年間で3度目の王座に寸前まで迫ったジャイアンツ、実に29年ぶりの世界一を目指すロイヤルズ。どちらが勝ち残るにせよ、2014年シーズンのMLBは極めてドラマチックな結末を迎える匂いが濃厚に漂っている。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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