濱田美栄が指導の道へ進んだ原動力 フィギュアスケート育成の現場から(1)

松原孝臣

関西大学スケート部に刻まれた歴史

2006年に完成した国際規格のアイスアリーナ 【積紫乃】

 たくさんのスケーターが滑っている。小学生であろう小さな子から、高校生くらいの選手まで、リンクいっぱいに広がり、滑っている。
 壁面に大きな写真が吊られている。高橋大輔、織田信成がいて、指導者として活躍する佐藤信夫、佐藤久美子の現役時代の写真もある。それら部の出身者たちの写真が、刻まれた歴史を伝える。

 関西大学スケート部は1948年にアイスホッケー部、55年にアイススケート(フィギュアスケート)部が創部され、その後スピードスケートが加わり、現在はフィギュアスケートとスピードスケートで構成されている。そしてフィギュアスケートでは、数々の選手を輩出している。

 2006年には国際規格のアイスアリーナが完成し、関西大学のみならず、日本フィギュアスケートの有力な拠点となってきた。

32年を迎えた指導歴

濱田(中央)は現在、宮原知子(左端)をはじめとする選手の指導にあたっている 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 リンクには、選手たちを止めては声をかけるコーチたちの姿も見える。
 その1人に濱田美栄がいる。
 京都醍醐FSCのコーチであり、関西大学アイススケート部のコーチでもある。関西大学のコーチには、2007年に就任した。

「声をかけていただいたのは、少なくとも真面目にやってきたことを認めていただいたんだなと感謝しています。ほんとうにいい練習環境ですよね」

 指導歴は長い。
「指導者になってから、32年になります」

 長年の指導の中で教えてきた選手も、数多くにのぼる。その中には、2003年の世界ジュニア選手権で優勝した太田由希奈、四大陸選手権に日本代表として出場した北村明子や澤田亜紀らがいる。

 現在も、昨シーズンに続きグランプリシリーズに出場する宮原知子(関大中・高スケート部)をはじめとする選手たちの指導にあたっている。

「これまで、どこまで選手を育てることができたのかは分からないけれども、一生懸命教えてきたということだけですね。フィギュアスケートが好きだから、どうやったらみんながよいスケーターになるかということは、すごく考えてきましたし、考えています。毎日毎日、こうしたほうがいいかなって、ちょっとずつ考えては実行している感じですね」

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著者プロフィール

1967年、東京都生まれ。フリーライター・編集者。大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後「Number」の編集に10年携わり、再びフリーに。五輪競技を中心に執筆を続け、夏季は'04年アテネ、'08年北京、'12年ロンドン、冬季は'02年ソルトレイクシティ、'06年トリノ、'10年バンクーバー、'14年ソチと現地で取材にあたる。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)『フライングガールズ−高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦−』(文藝春秋)など。7月に『メダリストに学ぶ 前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)を刊行。

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