ゴルフ場を走る!走る!走る! ゴルフなう 第5回

北村収

【北村収】

 参加者は、数々のランニングイベントに参加しているランナーが多く、ゴルフ未経験でゴルフ場に来るのは初めてという方も多かった。10キロの部で見事優勝を果たした川井信行さんもその1人。「ゴルフ場に来るのは初めてでしたが、景色が良くて気持ち良かった。さまざまな大会に出ていますが、緑の中を走るのは始めて。足元も柔らかくて、ひざにもやさしいと思います」と語ってくれた。

 また、グループで参加した方も多かった。10キロの部の女性部門で2位に入った雨宮久美子さんも男女のグループで参加。「ここにいる全員がゴルフ場は初めてですが、こんなに気持ち良いものだとは思いませんでした。ゴルフにも興味を持ちましたよ」と、走り終わった後もすがすがしい表情を見せていた。
 なお、練習グリーンではパターの試打コーナーが開設されており、多くのゴルフ未経験ランナーがパッティングでのゴルフ初体験を楽しんでした。

ベテランゴルファーも新たな魅力を発見

 参加者にはもちろんベテランゴルファーも。キャリア28年、ハンデ0.9というプロ並みの実力を持つ松下健さんもゴルフの新たな魅力を発見したという。

「普段のプレーではスコアやスイングで頭がいっぱいになってしまうのですが、今日は素晴らしい景色を見て楽しむことができた。フェアウェイの地形などもしっかり認識できて、自然との一体感を感じられました。今日の感覚は普段のラウンドでも大事にしていきたいです」

 今回のゴルフ場は河川敷に作られたコースということもあり、全体的にフラットで走りやすかった様子。アスファルトを走るとひざを痛めるからという理由で、プロ野球選手やサッカー選手など、トレーニングのためにゴルフ場を走るアスリートも多い。景色も良く、ひざにもやさしい「ゴルフ場RUN」は今後流行るかもしれない。

優勝者の18ホール所要時間はなんと約51分!

見事優勝を果たした松井さん 【北村収】

「ゴルフ場RUN」に続いて開催されたのが「スピードゴルフ」。ゴルフのスコアだけでなくスピードまでも競うスポーツだ。

 通常のゴルフは素振りをしたり、風を読んだり、またはグリーン上で転がるラインを読んだりと時間がかかるスポーツなのだが、「スピードゴルフ」はラウンドのスコアとタイムの合計で競うスポーツ。たとえば18ホールでスコアが80、タイムが60分だとすると、合計した「140」がスピードゴルフスコア(SGS)として記録される。つまり、普段のゴルフのようにゆっくりやっていたらSGSは悪くなってしまうわけだ。

 スタートホールではDJが司会を進行。通常のゴルフではシーンとした中でスタートしていくものだが、軽快な音楽が流れる中で10分おきにスタートしていく。ラウンド中にプレーヤーへの声援が飛びかっているのも普段は見慣れない光景。スピードゴルフはすべての常識を覆していた。

 ゴルフの所要時間はどのくらいかかるかご存じだろうか? 通常9ホールで2時間〜2時間15分くらいが推奨されているが、ゴルフ場が混んでいる時には3時間くらいかかることもある。さらに昼食をはさんで9ホールを行い18ホールのラウンドを行うことが一般的。だから、ゴルフは1日仕事だと言われる。ところが、今大会で優勝した松井丈さんの18ホールにかけた時間は、たったの51分9秒! しかも、スコアは79だった。

ハードだけど、普段のゴルフより楽しい!?

 走りながらゴルフをするなんて、しっかりしたショットが打てるのだろうか?

「ショットは普段のゴルフとあまり変わらなかったです。時間をかけても良いショットにつながらないというのが分かった気がします」と語ってくれたのは小西宏和さん。

 また、「走りながらのゴルフは余計なことを考える暇がなくて、ショット、アプローチ、パッティングのすべてに良い結果が出ていたと思います」と、走ることでむしろゴルフに良い影響を与えたと感想を述べた方もいた。時間をかけすぎる普段のゴルフは、もしかしたらスコアに悪影響を与えているのだろうか?

 優勝者の松井さんは「ゴルフ場にぜひスピードゴルフタイムみたいのを設けてほしいです。遅い方でも1時間あればハーフは回って来れるので、例えばゴルフ場のトップスタート前の6時〜7時くらいまで1時間設けてくれるだけでも良いと思います。スピードゴルフならゴルフ後に仕事に行けますし、もっと気軽にゴルフができますよね」とプレースピードを速めることの効用を語ってくれた。

 なお、松井さんは10月25日に開幕する米国オレゴン州のバンドン・デューンズ・ゴルフ・リゾートで行われる「世界スピードゴルフ選手権(2014 Speedgolf World Championships)」にも出場する予定。

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著者プロフィール

タイガー・ウッズがプロ入りした1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ(ALBA)編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに就任。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。松山英樹が日本人初のマスターズ表彰台に立った2011年4月に独立。2011年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙媒体、Web、ソーシャルメディア、さらにはEコマースの企画運営も行うゴルフ編集者兼ゴルフWebディレクターとして、ゴルフ関連の仕事に従事。ゴルフを気軽に家族で楽しめる環境を日本で実現していくのが夢。まずは自分自身、家族ゴルフを楽しんでいる

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