bjリーグ10年目の開幕 地域に密着し地域振興の一翼を担うために

bjリーグ広報宣伝部

bjリーグならではの魅力

2010−11シーズンにリーグへ参加し、今や秋田の人々の活力となるほど人気を博している秋田ノーザンハピネッツ 【写真提供/bjリーグ】

 また、リーグ参入までの期間を短くすることも重要です。下部リーグから勝ち上がる必要がある制度の場合、思うように最上位リーグに昇格できず、途中で頓挫するケースもありうると思います。滋賀レイクスターズでは、構想からわずか1年6カ月での新規参入となりました。もちろん、環境整備などで構想から参入に数年かかったケースもありますが、いずれにしてもリーグ参加前に大きなチーム維持費がかかることはありません。

 こういった地方の負担を減らした形をとることで魅力を感じて頂いているのか、毎年のエクスパンションに申し込みいただく数は相当なものになっています。最近では地方自治体が中心となって、参入を検討していただくケースも増えております。例えば、秋田県では「元気なふるさと秋田づくり」を目的とし、外部委員や知事が参加する『秋田県発展戦略会議』で、プロバスケットボールチームの設立が検討され、その後の秋田ノーザンハピネッツ設立につながっています。

 もちろん、負担が少ないだけで地域に受け入れられるわけではありません。当然ですが、自分たちで収益をあげること、そして「地域の誇りとなる」部分がとても重要です。河内敏光コミッショナーは「地方の駅前商店街が閑散としている中、多くの人が集まり、自分たちのチームを応援することで熱気が生まれ、気持ちから地域が活性化する。そんな光景を生み出す力がスポーツにはある」と語ります。

 先日、ホーム開幕戦を迎えた福島ファイヤーボンズは第2戦で初勝利をあげましたが(編注:青森ワッツに接戦の末66−64で勝利)、勝った瞬間、会場は大歓声となり、帰途につく観客の方々は笑顔でいっぱいでした。また、取材に来られた地元メディアの方たちも「勝って良かった!」と喜び、中継を担当されたテレビ局のアナウンサーやカメラマン、スタッフのみなさんが口々に「楽しかった! また中継したい」とおっしゃってくださいました。bjリーグではこのような場面を見ることは珍しくありません。

興行という観点だけではないチームの存在価値

新潟県長岡市と組む『長岡市多世代健康まちづくり事業プラン』に今年から参加する 【写真提供/bjリーグ】

 ある時、試合終盤の大逆転でホームチームが勝った試合で、地元紙の記者の方がこっそり、「試合最後の得点経過を教えてくれませんか?」と聞きに来られました。聞けば、「あまりに興奮して、仕事を忘れて立ち上がって応援していた……」と。ブースターだけでなく、地元メディアの方にとっても、「自分たちのチーム」なのです。また、青森ワッツでは、寒くて雪の多い時期の楽しみとして年配のブースターが多くいらっしゃり、パソコンやスマートフォンを使わない方が多いため、試合のお問い合わせで電話が非常に多いという話も聞きました。まだ、参入から1シーズンですが、県民の方に応援されていることを実感するエピソードでした。

 そして、チームは地域のイベントへの参加も積極的です。他のスポーツと違い、夏にオフシーズンを迎えるため、お祭や夏休みのイベントに選手やチームのチアリーダーが参加しています。また、バスケットボール教室なども運営され、地域の子どもたちの教育にも関わっています。このようにbjリーグのチームはバスケットボールの試合や勝敗、興行という観点だけでなく、地域を元気にするための役割を担って存在しています。各民間のシンクタンクの調査では1チームが地域にもたらす経済効果は5億円前後と発表されていますが、金額以上の気持ちをお届けしできているのではないか、と思っています。

 現在、bjリーグでは行政と組んで、地域の健康に貢献する事業として、新潟県長岡市や『タニタ食堂』でおなじみの株式会社タニタ、慶応義塾大学などとともに、『長岡市多世代健康まちづくり事業プラン』に参加しています。事業主体の『一般社団法人 地域活性化・健康事業コンソーシアム』の理事長にはbjリーグの中野秀光社長が就任しました。この事業では『地域の健康』『まちなかの活性化』に貢献し、さらにはこのノウハウを各チームに拡大させることも検討しています。詳しい内容に関しては、近々こちらのコラムでお伝えしたいと思います。

 10週年を迎えたbjリーグ。地域密着の点でも、事業の点でも一定の成果を上げているチームもあれば、まだまだ苦戦しているチームもありますが、引き続き、地域に密着し、地域振興の一翼を担えるよう、共に努力してまいりたいと思います。

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