松本の強さの秘訣は「個人能力」だった!? 番記者が唱える、あえての逆説

多岐太宿

「悪役」に終わる気は毛頭ない

自動昇格枠は残り一つ。勢いは磐田にあるが、このまま屈するつもりはない 【写真:築田純/アフロスポーツ】

 J1への自動昇格枠は残り一つとなった。その椅子を巡る最大のライバルは、やはり新体制となった磐田と予想される。伝説の選手(名波浩)が監督に就いたことで、よどんだ空気は間違いなく払われたはずだ。強豪磐田の復活を祈る人も多く、その人たちは大抵が「強く、それでいて美しいパスサッカーを挑む磐田こそ勝者に値する」という価値観を持っているのではないだろうか。

 つまり、昇格戦線においては磐田が絶対的ベビーフェイスで、松本は恐らくヒールになるのだろう。やむを得ないとは思いつつ、そのような風潮にはあえて「NO」の2文字を突き付けたい。「美しいパスサッカーに勝るものはない」「新参のプロビンチャ(中小クラブ)は歴史あるビッグクラブには適わない」――。確かにそれは一面の事実かも知れない。しかし、歴史に学ぶ賢者諸兄は知っていよう。地方都市のクラブが栄冠を勝ち得たことも、美しいパスサッカーが絶対の価値ではないことも。

 確かに勢いは磐田にある。しかし、このまま屈するのでは、いかにもつまらない。松本が既存の秩序を破壊する、Jリーグの新たなる“価値紊乱(びんらん)者”となる姿を見届けてやろうじゃないか!

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著者プロフィール

1976年生まれ、信州産。物書きを志し、地域リーグで戦っていた松本山雅FCのウォッチを開始。長い雌伏(兼業ライター活動)を経て、2012年3月より筆一本の生活に。サッカー以外の原稿も断ることなく、紙、雑誌、ウェブサイト問わず寄稿する雑食性ライター。信州に根を張って活動中!

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