マドンナジャパン4連覇…次なる使命 6戦全勝、他国寄せ付けず圧巻V
大勝続きも特定の選手に頼らない
6戦全勝で4連覇を達成したマドンナジャパン。金メダルを胸にVサイン。左から新宮、磯崎、六角、石田 【島尻譲】
初戦の強豪・豪州との戦いは相手のミスも多くあり、14−0と5回コールド勝利で発進。格下と思われる香港戦では19得点、ベネズエラ戦では14得点を挙げ、いずれも危なげなく5回コールド勝利でグループA1位通過を決めた。
「5回コールドゲームなのはありがたい反面、イニング数が少なくなってしまうのでいろいろなバリエーションを試せない部分もあった」と、代表チームを率いる大倉孝一監督(環太平洋大)が語るように、特に投手陣の継投は短いイニングでは苦労したようだ。
現状で調子が良い、過去に経験がある、国際大会を初めて経験するなどおのおのの背景や事情はある。ただ、どんな試合展開であっても、実際に国際大会の舞台に立つということは何よりも選手自身のメンタルの安定につながるもの。それが良好なパフォーマンスをも生み出す。大勝続きの中でも特定の選手だけに頼るわけではなく、チームの全選手が来るべき出場機会に備えてコンディションを上げていた。
小技決め「恐るべし」の印象を強める
頼れる主将・志村は勝負どころで結果を残し、チームを力強くけん引した 【島尻譲】
予選2次ラウンドの初戦はグループB2位のカナダが相手だった。前々日のベネズエラ戦でも先発マウンドを任された前大会(カナダ・エドモントン)のMVP・磯崎由加里(侍)が強力カナダ打線に2点を奪われたが、攻撃陣が相手のミスに乗じて走者をためてからの適時打というパターンで12得点。これで4戦連続の5回コールド勝利となった。
2次ラウンドの最終戦は日本と同様に連戦連勝の米国。お互いに翌日の決勝戦を控えて、若干は手の内を隠すような戦いになったが、がっぷり四つの好勝負になる。0−0の均衡を破ったのは中村茜(フローラ)のセーフティースクイズだった。女子プロ野球ではスラッガーとして名高い左打者がキッチリ小技を決めたことは、他国にとって「マドンナジャパン恐るべし」の印象をさらに強くしたであろう。
世界の女子野球を積極的に引っ張る存在へ
米国との決勝では、守備陣がファインプレー連発で先発の里を援護し、完封勝利につなげた 【島尻譲】
攻撃陣はこれに応えるかのように、決して多いとは言えないチャンスで、六角彩子(侍)の好走塁、厚ヶ瀬の適時打などで試合の主導権を握る。そして、激しく降る雨に一時中断などもあったが、里は集中力を切らすこともなく、見事な完封勝利。マドンナジャパンが4連覇という偉業を成し遂げた瞬間、サンマリンスタジアム宮崎は観衆の歓喜の声援で大きく揺れ動いた。
このような簡単な振り返りで文字にしてみても、マドンナジャパンは圧倒的な戦力と強さで頂点まで駆け上がっていったように見える。しかし、単純なミスやボーンヘッドもあったし、まだまだ成長しなくてはならない部分も多い。ただ、今大会に関しては1つのミスで食い止められる、引きずらないのが他国との大きな差ではないだろうか。
あとは筆者の拙い語学力で、簡単ながらも女子野球事情を各国の首脳陣や応援に来ていた選手の父兄などに尋ねてみたところ……日本でもまだマイナー感が強い女子野球ではあるが、他国よりも恵まれている面が段違いに多いことを実感。そういった部分でも日本は今後、世界の女子野球を積極的に引っ張っていく存在であり、使命もあるように思えた。
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