キャプテン2年目、木村沙織の新たな挑戦 今までの経験を全日本でも生かすために

田中夕子

「これからは伝えることも大事」

海外でプレーを続ける選択肢もあった。しかし木村はより成長するために古巣復帰を決断。「今までの経験を全日本で生かすために、これからは伝えることも大事」と語る 【写真:アフロスポーツ】

 ワクフバンク、ガラタサライと2つのクラブを経験したことで、さらに視野も広がった。出場機会は決して多くはなかったが、シーズン終盤のトルコカップでは古巣のワクフバンクに対して「トルコに来た中で一番、満足いくプレーができた」というように、フルセットの激闘を繰り広げるなど、昨年以上の手応えもあった。

 3年目のシーズンも海外で、と考えかなったわけではない。だが2年後に迫るオリンピックに向け、6月、木村沙織は3シーズンぶりの日本復帰、古巣の東レ・アローズへの入団を表明した。

「とにかくもっとボールに触りたいな、と。海外で得られることやできることもたくさんあるけれど、もっともっとボールに触る回数を増やして、感覚を磨くことのほうが、これからの自分には大事なんじゃないか、と思ったんです」

 練習時間も限られ、日本と比べればボールに触る時間は半分にも及ばない。しかも試合に出場する機会が少なくなれば、その回数はさらに減る。高さや個人技で勝るブロックを前に、なかなか通用しなかった自身の攻撃をもっと磨きたい。もっともっと、バレーがうまくなりたい。そのためには、日本に戻り、生活のストレスを減らし、存分な練習環境が与えられる中で自身の技や体を鍛え直すことを最善と考えたうえでの選択だった。

「今までの経験を、自分だけじゃなく全日本でも生かすために、もっと、これからは伝えることも大事かな、と思っています」
 
 ワールドGPの開幕は、現地時間8月1日。日本はトルコ・アンカラでその戦いをスタートさせる。ベールを脱ぐ新戦術もさることながら、得難い経験を経て、新たな挑戦に向かう、キャプテン・木村沙織にも注目だ。

2/2ページ

著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント