ワタナベジムの柴田明雄と田口良一に注目=7月のボクシング興行見どころ

船橋真二郎

WBO王者・亀田和はラスベガスで初防衛戦

日本時間13日、WBO世界バンタム級王者の亀田和毅が米国ラスベガスで初防衛戦を行う 【写真は共同】

 7月は世界戦が3試合。7日(月)はWBA女子世界スーパーフライ級王者の藤岡奈穂子(竹原&畑山)が後楽園ホールに登場。初防衛戦に臨む。強打とスピードを併せ持つ藤岡は女子の第一人者と言える存在。昨年11月、3階級上の山口直子(白井・具志堅)を下し、このベルトを獲得した。対する挑戦者、東洋太平洋王者の川西友子(大阪帝拳)も実力派。171センチの長身選手で距離を生かせるかがポイントになる。藤岡はソフトボール、川西はバスケットボールの本格的な競技経験があり、運動能力の高い両者の一戦は見応え十分の好試合の予感。
 
 日本時間13日(日)にはWBO世界バンタム級王者の亀田和毅(亀田)がラスベガスで初防衛戦。元同級王者でもあるプンルアン・ソーシンユー(タイ)とはボクサー対ファイターの構図になり、亀田はスピードを生かし、集中して戦いたい。18日(金)には神戸ポートピアホテルで帝里木下(千里馬神戸)がIBF世界スーパーフライ級王座決定戦に出場。18勝16KO(3敗)の強打者ゾラニ・テテ(南アフリカ)とはサウスポー対決になる。テテは4年前にフライ級で世界初挑戦(5回TKO負け)。以降も幾多の世界ランカーと敵地で対戦しており、経験は上だが、帝里は序盤にペースをつかみたい。

日本王者・大竹がV5戦、和氣は地元凱旋

 ライバル対決が期待される2組も興味深い。スーパーバンタム級は18日(金)に後楽園ホールで5度目の防衛戦を行なう大竹秀典(金子)と、21日(月・祝)に地元の岡山武道館で凱旋防衛を行なう東洋太平洋王者の和氣慎吾(古口協栄)。“リングの仕事人”と呼ばれる堅実な右ファイター大竹と、“リーゼントボクサー”と自ら称する派手な左ボクサーファイター和氣という好対照な2人は、ともに年内の世界挑戦を目論む。大竹は6位の古橋岳也(川崎新田)、和氣は1位の李ジェーソン(韓国)との眼前の防衛戦をクリアすることが前提だが、国内ナンバーワンを決めてからという声が高まっている。

 ライト級は後楽園ホールで23日(水)にそれぞれ試合を行なうWBC7位の荒川仁人(八王子中屋)と日本王者の加藤善孝(角海老宝石)。サウスポーの試合巧者・荒川は今年3月にラスベガスで世界2階級制覇のホルヘ・リナレス(帝拳)に判定で敗れて以来の再起戦で元日本王者の近藤明広(一力)とノンタイトル10回戦で再戦する。強靭なフィジカルが武器の加藤は2008年の全日本フェザー級新人王で7位の斉藤司(三谷大和)と7度目の防衛戦。両者は新人時代の直接対決で1勝1敗。世界戦線に浮上したい加藤が決着戦を熱望している。

 7月は興行が多い。20日(日)は名古屋国際会議場で中部の大型ルーキー田中恒成(畑中)の3戦目。世界ランカーを連破し、すでにWBAミニマム級14位にランクされる田中は井上尚弥のデビュー戦の相手を務めたクリソン・オマヤオ(フィリピン)と対戦する。畑中清詞会長が狙うのは近い将来の井上の最速記録6戦目の更新だ。28日(月)には後楽園ホールで角海老宝石ジムが誇る中量級の2人の日本王者のダブルタイトルマッチが行なわれる。3月に元ミドル級王者の難敵を退け、防衛数を着実に伸ばすウェルター級の高山樹延は4度目の防衛戦。元高校2冠で8戦全勝7KOと勢いに乗るスーパーライト級の岡田博喜は初防衛戦に臨む。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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