武豊、101勝目のGIは“格別”の味=アキュート史上初の帝王賞8歳馬V

スポーツナビ

武豊ワンダーアキュートが上半期ダート競馬の大一番・帝王賞をV! 【スポーツナビ】

 JRAと地方のトップホースが激突する上半期ダート競馬の大一番、第37回帝王賞が25日、大井競馬場2000メートルで争われ、武豊騎乗の3番人気ワンダーアキュート(牡8=栗東・佐藤正厩舎、父カリズマティック)が優勝。道中3番手から最後の直線で堂々と抜け出し、2012年JBCクラシック以来となるGI2勝目を挙げた。8歳での帝王賞勝利は史上初。不良馬場の勝ちタイムは2分3秒5。

 ワンダーアキュートは今回の勝利で通算39戦12勝、重賞は6勝目。騎乗した武豊は同レース史上最多の4勝目。同馬を管理する佐藤正雄調教師はうれしい帝王賞初勝利となった。

 ワンダーアキュートから2馬身差の2着には田辺裕信騎乗の1番人気コパノリッキー(牡4=栗東・村山厩舎)、さらに2馬身差の3着には福永祐一騎乗の5番人気ソリタリーキング(牡7=栗東・石坂厩舎)が入った。

コンビ結成から1年、ついにつかんだGI

これまでの惜敗がまるでウソのよう、1番人気コパノリッキー(右)を2馬身突き放す快勝だった 【スポーツナビ】

 昨年の帝王賞から新コンビを組んで丸1年。ついにGIタイトルに手が届いた。
「この馬とは本当に何度も悔しい思いをしてきましたからね、格別にうれしいです」
 武豊が満面の笑顔で答えた。“格別”なんて言葉は、ひょっとしたらJRAのGIを勝ったときでもめったに聞かれない。それほどまでに、今回の勝利は武豊にとっても感慨深いものだった。

 武豊とワンダーアキュートが新コンビを組んで以降、GIレースでは2着が実に3回、そして3着も2回。上位には来るのだが、そこからなかなか突き抜けられないもどかしい競馬が続いていた。そうこうするうちに、4歳馬コパノリッキーなど若い力が台頭し、ワンダーアキュートは明けて8歳。時代は確実に移り変わろうとしていた。
 だが、これが長年ダート界をけん引してきた大ベテランの意地と底力。単勝1.9倍の断然1番人気コパノリッキーを正攻法で沈めてみせたのだ。

「十分にチャンスはあると思っていましたし、馬の状態がすごく良かった。当然、勝つことを意識していました」
 武豊の手綱も見事だった。好発から内枠各馬の出方を見ながら、3番手をピタリ追走。「誰も行かなければハナに行ってもいいと思っていましたが、内の2頭(ニホンピロアワーズ、コパノリッキー)が行ってくれたからいい形になりましたね」。息をひそめて淡々とラップを刻んでいたかと思えば、迎えた3コーナーでは押し上げてきたソリタリーキングに反応して一緒に仕掛けていく。
「ワンダーアキュートも行きたがって自分からペースを上げていこうとする素振りを見せたので、あまり抑え込んでもと思い、早めに行きました」
 この変幻自在の手綱で早々と先頭を走るコパノリッキーをとらえると、さらに2馬身突き放す完勝。佐藤調教師は「これまでのウップンを晴らすような脚だったね」と、同馬にとって念願かなった大井でのGI勝利に大きな笑みを浮かべた。

秋に向けて夏は充電

大井でも武豊人気は抜群、場内は大歓声に包まれていた 【スポーツナビ】

「ようやく大井で勝てましたね。僕も久々に帝王賞を勝ててうれしい。GI100勝目から101勝目までずいぶんと時間がかかってしまいましたけど(笑)、後半戦も頑張っていきたいです」
 表彰式、共同インタビュー後には次から次とファンからサインを求められ、ここ大井でも抜群の人気の高さを見せつけた武豊。ダート競馬の上半期を締めくくるにふさわしい完ぺきな勝利だったと言えるだろう。

 なお、佐藤調教師によれば、ワンダーアキュートの次走は未定ながらも帝王賞を勝ったことでこの後はいったん夏休み。秋競馬に向けてローテーションを組んでいきたいとのことだ。また、「ひょっとしたら9歳まで頑張るかもしれませんが、今後とも応援よろしくお願いします」とニッコリ。老いてますます盛んな愛馬の力に、改めて惚れ直した様子だった。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント