穴多いヤンキースが生き残るための条件 新エース田中はチームを支え続けられるか
田中に求められるのは勝利と長いイニング
ヤンキースは21日のオリオールズ戦で逆転サヨナラ勝ち。優勝候補らしい粘りを見せ、10月にプレーオフ進出を果たせるか 【Getty Images】
「田中は勝つだけでなく、イニングを稼いでくれて、投球内容も素晴らしい。彼が投げる日はブルペンを休ませられる。そのインパクトは大きく、(休ませたリリーフ投手たちを使えるという意味で)登板日ではない日にも影響するんだ」
新エースの貢献度について語っていたジラルディ監督の言葉は、大げさとは思わない。
デリン・ベタンセス(防御率1.50)、デービッド・ロバートソン(同3.28、17セーブ)、アダム・ウォーレン(同2.88)といったヤンキースの救援投手陣は健闘してきたが、ブルペンを早い時期から消耗させるわけにはいかない。その負担を減らすべく、田中には今後もこれまで通りに長いイニングを稼ぎ続けてもらいたいところだろう。
投手陣の補強は必要、GMも鍵を握る
さらに、8月に復帰可能と目されるサバシア、ピネダがどれだけ貢献できるかも分からない。そんな状況下で、フロントは的確に補強を施す必要があるだろう。
「現在離脱している選手たちが何を供給してくれるとは考えない。理にかなった話(=トレード)があるなら、待つつもりはないよ」
19日のブルージェイズ戦前に、ブライアン・キャッシュマンGM(ゼネラルマネジャー)はそう語っていた。GMの言葉を信じれば、噂に上っているカブスのジェフ・サマージャ、ジェーソン・ハメルといった投手たちの争奪戦にヤンキースが参戦することも十分考えられる。高齢ロースターのヤンキースは必ずしも交換要員豊富と言えないだけに、有効な補強策をどうまとめるか。7月末のトレード期限に向けてキャッシュマンも鍵を握る1人となりそうである。
いずれにしても、今季もすでに74戦を戦い終えたというのに、2014年版ヤンキースの骨格はまだ定まっていない印象を受ける。これから先の変化の中で、優勝候補らしい筋金が入ってくるか。そして、現時点でサイ・ヤング賞と新人王両方の最有力候補である田中は、今後もチームを支え続けられるか。
未知数の部分が多いゆえに、余計に楽しみでもある。7月のトレード期限を過ぎて、夏も佳境を迎えるころくらいまでに、今季のチームの“真実”が少しずつ見えてきそうな予感も漂っている。