ダンカンvs.レブロン、3度目の激突! 歴史の転機となるファイナルが開幕へ
ファイナル制覇とともに引退も考えられるダンカン
“新旧ベストプレーヤー”の決着戦に臨むレブロン。史上最高の選手になるためにも、負けられない戦いとなる 【Getty Images】
ダンカンが勝てば、自身5個目のチャンピオンリング獲得となる。2007年以来初めてとなる優勝を38歳で成し遂げれば、そのキャリアに新たな勲章が加わる。1990年代(1999年)、2000年代(2003、5、7年)、2010年代のすべてでファイナル制覇を果たすとなれば、新陳代謝の激しい米スポーツ界の常識を覆す驚異の記録と言って良い。
そして、もしもそれを達成したとして、その後には何が待っているのか?
「フランチャイズの顔である(グレッグ・)ポポビッチHC、ダンカンという2人と、トニー・パーカー、マヌー・ジノビリはすべてあと1年の契約を残している。それでもシリーズ終了後、特にスパーズが勝った場合のポポビッチとダンカンの決断には注目だ。彼らは現役続行を望むか? それともファイナル制覇は物語の最終章に相応しいと考えるか?」
『ESPN.com』のマーク・スタイン記者が指摘するように、ファイナル制覇直後の引退以上に美しいキャリアの幕引きはない。4日の会見時には現役続行を示唆したダンカンだが、いつ考えを変えても不思議はない年齢だけに、見守る側の私たちも心の準備をしておいて損はないはずだ。
レブロン、「史上最高の選手」へ負けられない1戦
「史上最高の選手になりたい。それが僕のモチベーションなんだ。まだ目標を果たすには遠いところにいるけど、光は見えてきたよ」
昨オフにそう語っていたレブロンがここで3連覇を果たせば、優勝回数でもマイケル・ジョーダンの6度、コービー、マジック・ジョンソンの5度にまた一歩近づく。加えてジョーダン、オニール以来となる3年連続ファイナルMVPを獲得すれば、名声がさらに高まることは間違いない。
しかし、もし負けてしまえば……? そのときには、ダンカンとの直接対決には1勝2敗と負け越し。ファイナル通算でも2勝3敗という見栄えの悪いレコードになり、輝かしいキャリアに一転の曇りがかかってしまう。
ダンカンが当時22歳だった怪物に「いつか君の時代が来る」と声をかけてから、もう7年の時が過ぎた。実際に現在の私たちは、“レブロンの時代”の中にいる。そして、そのレブロンの3連覇の前に立ちはだかる最後の刺客がダンカンが率いるチームだというのも、どこか運命的な巡り会わせに思えてくる。
歴史的なビッグマンと、世紀のオールラウンダー。1チームでキャリアをまっとうし続けた無骨な男と、栄光を追い求めて新天地を目指した怪物。余りにも対照的な2人の人生は、2014年6月、再び交錯する。
実力伯仲の両雄の対戦は、第6、7戦までもつれ込む長いシリーズとなることが濃厚。劇的なクライマックスを見逃すべきではない。後に振り返った時、歴史のターニングポイントとして語られるであろうファイナルが、間もなくサンアントニオの地で始まろうとしている。