走る前にすべてが決まる!? 正しい走りは「走らないトレーニング」から!

青山剛

上体起こし腹筋×10回

【撮影:真崎貴夫】

 今回は、そのスイッチの中でも「主電源」と言っている一番大事で、かつ初めに入れないといけないスイッチの「腹直筋スイッチ=上体起こし腹筋」を紹介します。

・まずあおむけになりひざを曲げ、足の裏を付き、ももに手を置きます。

【撮影:真崎貴夫】

・次に反動をつけずゆっくりと、8カウントしながら上体を起こしていきます。

【撮影:真崎貴夫】

・上体が起きたら、今度が4カウント、よりゆっくり数えながら上体を下していきます。

【撮影:真崎貴夫】

 このスイッチのポイントは反動をつけずゆっくり上げて、ゆっくり下ろすことです。この姿勢(足の裏がしっかりついて、手がももで)10回上がらない場合は、スバリ言うと「まだ走らないほうがいい」ということです。なぜなら、この状態=腹筋が使えない状態で走るということは、足で走るしかなく、足で走る悪いクセがついてしまうからです。

 この腹直筋は主に2つの役割があります。まずは姿勢保持、もうひとつは上半身と下半身をつなぐ「連動」です。この大事な2つの役割を最低限果たせる「腹筋力」は上記のように10回上がることからです。

 最初は上体が上がらなくても心配はいりません。その場合は、足を遠くに置いてかかとだけをつけると、負荷が軽くなり上がりやすくなります。また、それでもまだきつい場合は、背中にタオルなどを入れて傾斜を緩くして行っていけば、少しずつできるようになります。

・足の裏ではなく、かかとだけついて負荷を軽くして行う。

【撮影:真崎貴夫】

 逆に、日ごろからこのような運動をしていたり、腹筋が強く、手がももだと簡単にできてしまう方は、手の置く場所で負荷が上げられます。

・ステップ2 手は胸に当てて

【撮影:真崎貴夫】

・ステップ3 手は頭で

正しくやれば「腹筋は裏切らない」

 大切なことは反動をつけずに、ゆっくり上げてゆっくり下ろすことでスイッチが入るということです。私がこの10年、一般の方のパーソナルコーチングを行ってきて「ちゃんと」日々コツコツとストレッチ、スイッチを行っていた方は必ず上がるようになっています。最高齢の方の例では、69歳の方で当初1回もできなかった方でも、1カ月後には10回上がるようになりました。これができるようになるには腹筋を強くするだけではなく、骨盤周りの柔軟性を上げる(=ストレッチをしっかり行う)ことも重要です。

 よく「トレーニングは裏切らない」と言いますが、それは正しくやってこそで、結構な方が裏切られた経験があるはず(笑)。私の格言は「腹筋は裏切らない」です。

 この上体起こし腹筋が10回、しっかりできるようになった時、もうあなたのランニングフォームは劇的に進化しているはずです。まずはこの「走らないランニング・トレーニング」から頑張りましょう!

(参考資料:青山剛著「走らないランニング・トレーニング」マイナビ発行、撮影:真崎貴夫)

2/2ページ

著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント