疲れずに速く走るヒントは、スキップにあった!

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リクルート出身の理論派ランニングコーチの教えるメソッドは、驚きの連続!

「マラソンは上半身が9割」という、革命的な理論を説くのは、リクルート出身という異色のランニングコーチ、細野さん。前編でも、「おヘソの位置を上げるだけで、脚は走りながらストレッチされる。疲れない」という、私たちのようなラン初心者にとっては驚きの事実を教えていただきました。

 インタビュー後編となる今回は、「走ることを継続するための心構え」から、最後の方には、「ラクに、楽しく走るためにすぐに出来る魔法のようなメソッド」を紹介していただきました。

長く続けるためのお手本は、“イチロー”。

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――おそらく、走ったことのない人の多くは、「ランニングは疲れが残りそう…」というイメージを持っていると思います。そんな方々へ、どのように走れば楽に、疲れを残さず走れるのか、アドバイスいただければと。

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細野 技術的なところで言うと細かい話はたくさんあるので、その辺りは僕の著書を参考にしていただければと思います(笑)。まぁ、一番大切なのは、「走ろうと思わないこと」です。

 僕たちのような熟達者、いわゆるセミプロ・プロでも、力んで走ってしまうといつも以上に疲れてしまいます。ですから、月並みかもしれませんが、ポイントはリラックスすること。つまり、カラダの力を抜いて、「走ろうと思わない」ということが大切です。

 どちらかというと、「走っている時の景色を楽しもう」とか、「音楽を聞きながらリズム良く、気持ち良く」ということに意識を置くと、きっと苦しくならないんじゃないかな、と思います。

――まずやること、気持ちよくなることが大事ですね。

細野 スポーツの根本って、楽しむことじゃないですか? 苦しむことではありませんから、まずはカラダを動かすことを、汗をかくことを楽しんでください。僕も学生時代は気持ちが乗らない時は走りませんでした。

 その代わり、ウォーキングをしたり、違うトレーニングをしていましたね。でもやっていると、気分が乗ってきて走り出したりもするんです(笑)。

 気分が乗らない時は気持ち、もしくはカラダが疲れているという証拠です。そういう時に運動しても怪我をしちゃいますし。プロの世界でも同じですけど、怪我をしない選手がいい選手の証なので。仕事も同じ。継続的にある一定の成果を出せる人の方が評価されるワケであって。

――つまり、コンスタントさであり、打率ですよね?

細野 そうなんです。だから、イチローはすごいんです。彼は野球を楽しんでいるから、あれだけ長くトップを走り続けられるのだと思います。

 ただ、まだ走ったことのない人、継続できていない人の場合はランニングをいきなり好きになれるのは難しいと思いますから、カラダを動かすという行為自体を好きになることがまず大切ですね。 そこがイチローのように楽しみながら成長する第一歩だと思います。

「●km走る!」はNG。自分に対して、“キツい”約束はしない!

――「どれくらい走ればいいのですか?」、こんな疑問を抱えている初心者も多いと思います。

細野 気持ちよいと感じる程度でいいのではないでしょうか? それこそ5分でもいいし、300mでもいい。自分が運動した、気持ちよく走ったという既成事実をつくってあげることが大切です。そしてそれを継続できてきた時に、初めてランの“効果”を実感できるのではないでしょうか?

――「5km走る」、「皇居を一周する」、「キツかった、もうやりたくない」という感情の推移がフツーですね。

細野 だから、自分に対してキツイ約束をしないことですね。だって、ランニングって、自分のペースでやるべきモノなので。「今日、走りたくない」と思ったら、ウォーキングでもいいわけで。

 でもせめて、ウエアに着替えて、ちょっとスポーツした気持ちになることが大事。そして、走りたくない中でカラダを動かせた自分をちゃんと褒めてあげることが大切です。

あの為末大さんも推奨! ランとスキップの組み合わせで、楽に走れるフォームに!

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――それでは最後に。「今日から走ってみたい」、そんな方々に対して、何か一つ、楽しく、ラクに走るためのメソッド的なモノを紹介していただければと。

細野 おヘソの位置を上に引き上げる、ということをお話ししたと思うのですが、もうひとつ紹介するとすれば、“スキップ”です。おヘソの位置を上に引き上げることを意識した上でスキップをして、それから走ってください。

 そこから走りはじめて、疲れたら、もう一度スキップしてみてください。そこから走れば、また重心の位置を意識して走れるので疲れにくくなると思います。
――スキップで走ることがラクになる、というのは、ちょっと驚きです。

細野 いわゆる走るということは、実はジャンプしていることなんです。つまり、脚を前に進めるのではなく、弾む感覚、それが走るという行為です。脚がもともと持っている弾性を活かせば、筋肉を動かさない分、エネルギーの効率が良くて疲れないんですね。

 よく、バタバタと音を立てて走っている人を見かけると思いますが、あれってNGなんです。音がたつということは、エネルギーが音に変換されて、パワーが死んでしまっているんです。だから、なるべく足音を立てないようにするだけでも、エネルギーのロスは少なくなり、ラクに走れます。

――スキップするように走る…いや、走るではないですね。そう考えると、いわゆる走ることがそんなに億劫(おっくう)ではなくなりますね。

細野 走ることは僕たち人間が誰でも出来る運動なんです。僕たちも小さい頃は純粋に走り回っていたと思いますけど、いつの間にかそれが苦行になってしまいました。

 今でも公園に行けば子供たちが嬉しそうに走っていますけど、僕はこの走っている子供の笑顔がスポーツや運動の本来の楽しさなのかなと思っています。

 ランニングって本当はすごく楽しいことですし、僕は仕事としてランニングの楽しさをもっと多くの人に伝えていきたいと思っています。 ですから、まずはカラダを動かすこと自体を楽しんでほしいですね。そしたら、きっといいコトがたくさんあると思いますよ。

――すごくわかりやすいお話、有難うございます。さっそく実践してみたいと思います!

■細野史晃 Fumiaki Hosono
リクルートHRM(現リクルートジョブズ)→Sun Light History代表。 大学在学中に教育とスポーツを改革することを心に決め、修行の場としてリクルートの門を叩く。現在はランニングクラブ運営、パーソナルトレーナー事業、スポーツ選手の指導・キャリアサポートを中心にスポーツ・キャリアの両面で活動中。http://sunlightrc.com/
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著者プロフィール

「スポーツをプラスすれば、毎日はもっと楽しくなる」をコンセプトに、カラダを動かすことの楽しさや面白さを伝えるWEBマガジンです。STANDS!では、スポーツをはじめるにあたり、行動に移せていない潜在層に対して、「スポーツ×ビジネス」という独自の観点からのインタビュー記事や、健康に関するコンテンツ、注目イベントの紹介・レポートを配信することにより、「カラダを動かすきっかけ」を提供しています

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