2階級を制覇した南米版「驚異の男」 WBC王者セルヒオ・マルチネスの半生

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30歳を超えてから2階級を制覇

30歳を超えてから2階級を制覇した“驚異の男”セルヒオ・マルチネス 【(c)NAOKI FUKUDA】

「驚異の男」といえば真っ先に80年代を彩ったミドル級のスーパースター、マーベラス・マービン・ハグラー(米国)が思い浮かぶが、現代の「驚異の男」は同じミドル級のWBC王者セルヒオ・マルチネス(39=アルゼンチン)である。このところ負傷が続いて試合から遠ざかっているマルチネスだが、6月7日にはアメリカのニューヨーク、マディソン・スクエア・ガーデン(MSG)で4階級制覇を狙うミゲール・コット(プエルトリコ)の挑戦を受けることが決まっている。今回は、30歳を超えてからスーパー・ウェルター級とミドル級の2階級を制覇したサウスポーの半生を紹介しよう。

 ハグラーはmarvelous(マーベラス)と呼ばれて人気を集めたが、スペイン語圏のマルチネスはmaravilla(マラビジャ)の呼称で知られる。2月で39歳になり、現役生活もそう長くはないとみられている。マルチネス自身も「いまは確かなことは言えないが、コット戦が終わったら結論を出したい」と話している。それが現役続行なのか、あるいは引退なのか、それはマルチネス自身しか知らないことだ。

わずか5週間の練習でアマ試合に勝利

 セルヒオ・ガブリエル・マルチネスは1975年2月21日、南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレスのクィルマス地区で3人兄弟の次男として生まれた。父親ウーゴ・アルベルトと母親スサーナ・グリセルダは金属加工の仕事に携わっていた。学生時代のマルチネスは英語のビジネス秘書コースを選択したが、本人が望むような十分な勉強の時間はとれなかったという。父親の仕事を手伝う必要があったからだ。マルチネス少年は類まれな運動神経の持ち主だったらしく、サッカーや自転車競技ではジュニアのトップで活躍した。

 ボクシングは20歳のときに始めた。叔父の手ほどきを受けたマルチネスは、わずか5週間のトレーニングでアマチュアの試合に初出場し、勝利を収めたというから驚きだ。
 アマチュア・ボクサーとなったマルチネスは、97年にはアルゼンチンの国内選手権ウェルター級で優勝。余勢を駆ってその年にハンガリーの首都ブダペストで開催された世界選手権にも出場した。しかし、のちにプロで世界王座にも挑戦するアドリアン・ディアコヌ(ルーマニア)にライト・ミドル級2回戦で敗れている。ちなみに、このときのナショナルチームのメンバーにはオマール・ナルバエス現WBO世界S・フライ級王者もいた。
 3年足らずのアマチュア生活で41戦(勝敗数は不明)を経験したマルチネスは97年12月、プロに転向する。23歳の誕生日を3カ月後に控えた時期だった。

<次回に続く>

Written by ボクシングライター原功

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