草野球とは縁遠かった“オシャレ”の要素を盛り込んだ。柄はいままでにはないカモフラ柄。大きいけれど、洗練されたフォルム。街中で背負っていても、誰も草野球のものとは気が付かないだろう。かといって、使用感は無視していない。週末、実際に草野球を楽しんでいるふたりが思いつく限りのすべての要素を詰め込まれた。

熊本氏「汚れがちのスパイクはセパレートなポケットに入れられるようになっていて、グローブはこだわりの“縦入れ”です。冷たいペットボトルを保冷できるポケットもあるし、突然の雨にも対応しています。……とにかく全部盛り込みました!（笑）」

　細かい仕様はここでは割愛するが、野球好きならググッと心を寄せられるだろう、“遊び”が盛りだくさんな逸品が完成した。

　作り方も“いまどき”だ。この取り組みは、商品を作りたい人が、プロジェクトに出資を募り実現を目指す新時代のWEBサービス“クラウドファウンディング”で今年３月に立ち上げた。熊本氏、大岩氏のふたりがそれぞれのFacebookやTwitterなどで拡散させた。結果は大成功。プロジェクトの目標金額に定めていた１５０万円に、開始５０時間で到達し、４月２１日現在、出資は４７０万円にまで伸びている。

熊本氏「自分たちが思っていた感覚に共感してくれる声が多くて、やってよかったと思いました。でもまだこれは第一歩。まだまだこれからです！」

　大岩氏も口を揃える。

大岩氏「率直にうれしいですね。今後は僕たちの取り組みをキッカケに、野球をする人が増えたりしないかな、なんて思っています。一野球人として、野球に貢献していきたいです！　これからですよ!」

ふたりのようにスポーツを心から愛する人たちが手掛けたアイテムでスポーツが彩られていくのも、これからのスポーツのあり方といえるかもしれない。ふたりこだわりのアイテム第一弾、『草野球用バックパック』のクラウドファウンディングでの募集は、今週２５日（金）が締め切りだ。
　遊びもここまでくれば“本気”。街中でオシャレな野球人が溢れる日はそう遠くないはず。そんな未来を楽しみにしたい。

（取材・文：谷口一馬／ベースボール・タイムズ）

■熊本 浩志（くまもと・ひろし）氏
デザイン家電ブランド「amadana」を展開する(株)リアルフリートの創業者で代表取締役社長。
草野球ではクラブチーム・東京バンバータの監督を務め２０１１年には創部３年にして東京都を代表して高松宮賜杯全国大会優勝。
常にストイックな取り組みでクラブチームの限界にチャレンジする一方で、ちょいとした遊び心を忘れない。
URL：http://tokyo-bambaataa.com

■大岩 Larry 正志（おおいわ・らりー・まさし） 氏
楽天イーグルス"TOHOKU GREEN"など多数のプロ野球チームのユニフォームデザイ ンを手がけるトップデザイナー、アートディレクター。
その他、キングオブコントのロゴやチュートリアル、キングコングなどのグラフィック、T.M.Revolutionやポルノグラフィティなどのデザインを手掛ける。
アニメ「The World of GOLFEN EGGS」などではボイスアクターとしても活躍中。草野球では勝敗よりも楽しむことを重視！
URL：http://www.oneman-show.com