“皇居ランナー”たちのオアシス 銭湯のランニングステーション
【スポーツナビ】
ランニングのあとに湯船につかれる憩いの場
バン・ドゥーシュで着替え、いざ皇居ランへ! 【Getty Images】
そんないわゆる“皇居ランナー”たちのオアシスとも言うべき憩いの場があるのをご存知でしょうか? 東京メトロ半蔵門駅1番出口から徒歩1分。その場所の名前は「バン・ドゥーシュ」。ガラス壁にデカデカと書かれた“湯”の赤文字が鮮やかなとおり、そう、ここは銭湯なのです。
みなさん、どうやってこの「バン・ドゥーシュ」を利用されているかと言いますと、まず入浴料(450円)を支払って入場→脱衣所で着替えて荷物をロッカーに入れる→ロッカーの鍵を番台のお母さんに預ける→皇居をランニング→戻って入浴、とこんな感じです。
皇居の近くにはランニングステーションが数多くあれど、都心のど真ん中で湯船につかれる銭湯スタイルというのは数えるほど。なんとも珍しい、知る人ぞ知る“秘湯”……というわけで突撃取材してきました。
伺ったのは土曜日の13時ちょっと過ぎ。開店直後にもかかわらず、早くも多くの銭湯ランナーたちが次々と出入りしています。女性ランナーにちょっとお話を聞いてみました。
「ここには毎週来ています。やっぱりお風呂があるから走ったあとに体を冷やさずに温まれるところがいいですね。お風呂もきれいですし、駅や皇居から近いのもいいところ。あと番台のおばちゃんが気さくで、すごくいい人なんです」
平日は会社帰りの人、土曜は地方のランナーにも人気
シューズはこちらのロッカーに。上に並んでいるブーツからも分かるように、たくさんの女性も利用 【スポーツナビ】
「あら? ここは初めて? 走りに来たの?」
そう言って出迎えてくださったのは、番台を務める山村艶子(つやこ)さん。素敵なお名前ですねぇ、なんて話すと「何言ってるの! 名前負けよ。アハハハ(笑)」と返ってきた。初対面とは思えないくらいフレンドリーなお母さんだ。山村さんによると、「バン・ドゥーシュ」はいつできたのか分からないそうだ。風呂屋さんとして随分昔からあったようで、いつの間にやら現在のような形態になっていたという。
「東京マラソンが始まって今年で8回目だけれど、1、2回目のころはまだお客さんも多くはなかったですね。だんだんとランニングの人気が出てきてランナーが増えたみたい。それに今は、毎週のように日曜日に大会がありますからねぇ。おかげさまで多くのランナーのみなさんに利用してもらっています」
平日は会社帰りの人が多く利用し、そのため夕方以降が最も混む時間帯。土曜は普段皇居を走れない地方のランナーたちも多く利用しに来るという。
「ほかにも出張で東京に来ていた人が、わざわざここに来てくれることもあるの。皇居を走って銭湯でお風呂に入って帰るなんて、いい土産話になるでしょう? 東北から毎年1回、必ず来てくれる方もいます。『おばちゃん、今年も来たよー』って訪れてくれて、本当にうれしいですねぇ」