自転車は楽しい“遊び” 「松原渓のスポーツ百景」

松原渓

自転車旅行にはドラマがたくさん

写真4 乗っているのは、ロードバイク。溝が浅く幅の細いタイヤが特徴で、走行抵抗が少なく、軽量で速いのが特徴だ。テンピュールのサドルカバーを取り付けた 【松原渓】

 私は物心がついたころには自転車に乗っていた。小さい時は、父によくサイクリングに連れていってもらい、週末は立川にある昭和記念公園まで行ったり、二子玉川の土手のサイクリングロードを目的地を決めずに走った。

 自転車は近くのスーパーや隣駅の図書館など、電車で行くには近すぎるけれど歩いて行くと遠い……そういう場所に行くために便利な乗り物でもある。だが、自転車で遠出をすることには、そういった便利さとは違った喜びもあることを、いろいろな場所に連れていってもらって知った。

 小学校3年生のころには、輪行(自転車をいくつかのパーツに分けて、鉄道や飛行機、船などで運ぶこと)をし、北海道を一周したこともある。目的地までの過程には、電車や車では味わえないドラマがたくさんあるのだ。今でも、仕事の現場に行くときやフットサルをしに行くときなど、週に1〜2回は、自転車で2時間以上走っている。
 ここで、自転車のメリットとデメリットを挙げてみよう。

【メリット】
・場所によっては車や電車よりも早く目的地に到達できる(携帯の地図アプリを使えばキロ数・時間・高速料金と、ルートが調べられる)
・無理なく有酸素運動ができる
・交通費がかからない
・車やバイクに比べると駐輪のストレスが少ない。CO2を排出しない
・電車や車では見落としがちな、季節の移り変わりを肌で実感できる
・ちょっとした小道や一方通行も自由自在に行けて、その街独特の雰囲気を楽しめる

【デメリット】
・大きな荷物は持てない。前にカゴがついている自転車ならある程度は積めるが、両手が塞がるため、スポーティなリュックやメッセンジャーバッグなどが必須。フォーマルな場所に行く時は乗りづらい
・天候に左右される
・距離が長くなると、疲れる(腰や腕など)
・パンツスタイルに限る(ヒールのあるブーツを履くことはある)

自転車ならではの贅沢も

ツーリングに行った時は、その土地の「地元グルメ」を味わう 【松原渓】

 私の場合、フォーマルな場所に行く時には乗れないなどの制限はあるものの、メリットを感じることが圧倒的に多い。さらに、自転車に乗ることで、季節ごとの楽しみが味わえる。

春:風が気持ちいい。花や木々が咲き誇り、見どころがいっぱい
夏:夏の夜は本当に風が気持ちがいい。日照時間が長く、暖かいので長時間乗れる
秋:色づく木々、紅葉が楽しめる
冬:寒いけれど、からっと晴れた小春日和などは最高だ。寒い時期は空気が澄むので、夜景が奇麗に見える

 私が一番好きな季節は春。暖かい夜に満開の夜桜を見ながら、奇麗な月や星空を愛でながら走るのは、自転車ならではの贅沢(ぜいたく)だ。好きな場所は、夜景が美しい場所。お台場や湾岸地域は夜景が奇麗に見える橋も多いのでオススメだ。さらに一歩踏み込んで、1泊2日のツーリングも何度かしている。その土地の地元グルメを味わえるし、「日本の道百選」「峠百選」といった、魅力的な道もたくさんある。
 ここ数年、日本には空前の自転車ブームが到来しているという。理由は、趣味の充実やメタボ予防、ガソリンの高騰などいろいろだと言う。書店では自転車雑誌の多さに、ブームを実感させられる。軽量化やデザイン性を追求し、パーツにこだわった高級自転車もよく売れているそうだ。最近は自転車ウェアのオシャレも多様化しているので、機会があれば紹介してみたい。

 超高齢化社会と言われる中、自転車人気の高まりは健康ブームと密接に結びついているので、このブームは今後も継続していくのではないだろうか。自転車は、実に奥行きのある趣味だと思う。こんなに楽しい“遊び”に出会わせてくれたことを、今でも父に感謝している。

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著者プロフィール

サッカー番組のアシスタントMCを経て、現在はBSフジにて『INAC TV』オフィシャルキャスターを務める。2008年より、スポーツライターとしての活動もスタート。日テレ・ベレーザの下部組織であるメニーナのセレクションを受けたことがある。『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生が監督を務める女子芸能人フットサルチーム「南葛シューターズ」にて現在もプレー。父親の影響で、幼少時から登山、クロスカントリー、サイクリングなど、アウトドア体験が豊富。「Yahoo!ニュース個人」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/matsubarakei/)でも連載中

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