Wii Fitからはじまり、南極、北極を走るマラソン中毒者へ

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シーエー・モバイルの“第一号社員”であり、数々の企業の事業創出を行うベンチャー投資家のもうひとつの顔は、マラソン中毒者…

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「生まれてからの35年間、運動経験ゼロの経営者」。

 これだけ聞くと、お世辞にもスリムとはいえない中年男性を思い浮かべるだろう。今回の主人公である、インフィニティ・ベンチャーズLLPの小野裕史も過去はそうだった。

 39歳となった彼は今、“マラソン中毒者(ジャンキー)”と呼ばれている。ランニング開始後、体重は20kgも減り、痩せるという目的は達成したのだが、それでも彼は走ることを追い求め、サハラ砂漠を筆頭に、北極でフルマラソンを、そして南極では100kmマラソンを走ったのだ。

 25歳の時、シーエー・モバイルの第一号社員となり、8年かけて同社を業界のリーディングカンパニーに育てあげ、独立。今では国内外の30を超える企業に投資を行い、事業創出をサポートしているいわば成功者。グルーポン・ジャパンやサンシャイン牧場のRekoo Japanもその一社だ。

 俗にいう成功者であり、マラソン中毒者というもう一つの顔を持つ小野氏…謎の多い彼を今回は、“ラン”の一面から、解き明かしていきたいと思う。

絵に描いたようなインドア派を脱却するきっかけは、Wii

――あらためてですが、走りはじめたキッカケについてお聞かせいただければと思います。

小野 ギャグみたいな話ですが、「Wii Fit」がきっかけです。僕は元々、運動とは全く無縁の生活をおくっていて、イメージとしては、自分の周りにお菓子を並べてゲームをしているような感じです(笑)。

「なるべく動かないように」、そんな生活していると、当然ぶくぶくと太っていき、今よりも体重が20kg重かった、いわゆるおデブでしたね。

 そろそろ痩せなきゃというレベルまで太ってしまった時、ちょうどヨメがWii Fitを買ってきてくれて。ゲーム内のヴァーチャルランニングから、僕のダイエット、そしてランニング人生がはじまりました。

――キッカケは、まさかのWii Fitですか(笑)? 飽きませんでしたか?

小野 飽きましたね、結構早い段階で。ランニングのプログラムもあるんですが、リモコンをポケットに入れて家の中をぐるぐる走っていると、なんだかむなしくなって(笑)。じゃあ、外を走ってみるかと思って、まずはウォーキングからスタートしました。

――そこから続かない人も多いと思いますが、小野さんが続けられた理由は何ですか?

小野 僕、数字が好きなので、インプットに対してアウトプットがいかに変化するのかという変化を楽しんでいました。最初は1kmのウォーキングからスタートし、その距離がどんどん伸び、走れる距離も長くなっていきました。

 体重も順調に落ちていきましたし、心拍数、体重、体脂肪まで細かくデータをとって見える化して研究していると、「カラダが進化している」というのを感じられて楽しくて。

 筋肉痛で3日動けなかったのに、次に同じ距離を走ったら1日で治ったりして。全く運動をしていなかったせいか、1週間単位で数字が劇的に変わっていって、走ることがどんどん面白くなっていきましたね。

考え過ぎては動けない。感じた瞬間、ノータイムでポチっ!

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――小野さんは走りはじめてからわずか4年で、100近いレースに出ていますよね? 相当なペースだと思うのですが、初レースはいつだったんですか?

小野 2009年8月に走りはじめ、3ヶ月後の11月のフルマラソンにチャレンジしようと思い、すぐに“ポチり”ました。予行練習としてハーフマラソンも走っておかないとなと思い、ハーフもポチっとエントリーして(笑)。

 どうせ走るなら、走り続けるならやはり何かしらのマイルストーン、目標をつくるのが大事だろうと思いましてね。これは経営に置いても言えることですが。

――目標を設定して、そこからの逆算ですね。

小野 そうです。人間って不思議なもので、ポチってしまうこと、目標から逃げられない状況をつくってしまうことによって、「やるか」「やらないか」ではなく、「どうしたらやれるか?」という思考プロセスに変わっていくんです。しかも、「やるからには徹底的にやろう」、と自分を追い込むことができます。

――まさに小野さんの代名詞でもある、「ノータイムポチリ」が大きく関係していますね。知らない方も多いと思うのであらためて説明していただければと。

小野 もうこれは、読んで字のごとく、「ほとんど考えないで、ノータイムで、『面白そう!』と感じた瞬間にポチること」です。これの何がいいかと言うと、思ったことを実現するため、次のアクションにスピーディに繋げられるという点で抜群の効果を発揮します。

――ノータイムポチリは小野さんの日常にどのような変化をもたらしましたか?

小野 マラソンだけでなくて、これは日常の色々なところで効果を発揮してくれます。僕、これから(取材日は2/10)、有名な登山家である栗城史多(のぶかず)さんとの対談があるんですが、これもノータイムポチリから実現したものなんです。

 彼との出会いは、自宅で見ていたテレビ番組でした(笑)。「この人、すごい!」っと思って、その瞬間に彼のウェブサイトからメールを送ったんです。すると会ってくれることになって、僕もIT業界の人間として彼を応援したいと思い、色々な提案を用意していきました。

 その時に講演もお願いしたんですけど、後日、彼のトークを聞いていると南極で100km走るレースがあるということを知ったんです。「これは面白い!」と思って、北極点フルマラソンなるものもポチって走りました(笑)。その結果、本を出版する話に繋がったんです。
――栗城さんへのポチりから、様々なことが生まれたんですね!!

小野 以前、講演していただいた時、僕はいち聴衆として、ステージの上にいた栗城さんの話を聴いていたわけですけど、今日はステージに上がって彼と並んで対談できるワケです。思いついたということも一つのキッカケ。それをいかに行動にうつすかで人生は大きく変わるのだなと僕は思っています。

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著者プロフィール

「スポーツをプラスすれば、毎日はもっと楽しくなる」をコンセプトに、カラダを動かすことの楽しさや面白さを伝えるWEBマガジンです。STANDS!では、スポーツをはじめるにあたり、行動に移せていない潜在層に対して、「スポーツ×ビジネス」という独自の観点からのインタビュー記事や、健康に関するコンテンツ、注目イベントの紹介・レポートを配信することにより、「カラダを動かすきっかけ」を提供しています

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