町田樹「この現実を受け入れていく」 悔しさ残る5位、初の五輪を語る

スポーツナビ

■「世界選手権は『エデンの東』と『火の鳥』の最終公演」

3月の世界選手権は「エデンの東」と「火の鳥」の最終公演になるときっぱり。メダル宣言も飛び出した 【写真は共同】

――今季は「ティムシェル(編注:ヘブライ語、自分の運命は自分で切り開くという意味)」という言葉をテーマに掲げていましたが、来季以降もそういうテーマを設けるのでしょうか?

 どうでしょう。あるかもしれないし、ないかもしれないです。「ティムシェル」という言葉は、もともとSPのコンセプトなので、それから転じて僕の今シーズンの1つの信念みたいなものになっていました。「ティムシェル」という言葉が多く取り上げられたんですけど、来シーズンもそういうふうになるかもしれないし、ならないかもしれない。ただ僕は、本当に全身全霊でこの「ティムシェル」という言葉を体現しようと頑張ってきた。僕の今季の歩みが、多くの後進たちの希望になってくれたら、これ以上望むことがないほど幸せです。

――「自分の運命は自分で切り開く」。それを体現しました。

 そう、僕にもできたんだから、後進の人たちも自分次第で何でもできるんだということを分かってほしい。みんなの中にその力はあるんだから、あとは自分次第でどんなことでも成し遂げることができるんだと、僕は後進に伝えたかった。そういうふうに将来を担うスケーターが思ってくれて、頑張ってくれたら、いちスケーターとしてこれ以上の幸せはないです。

――昨シーズンまではそういう気持ちはなかった?

 昨シーズンまでは、自分のことでいっぱいいっぱいでした。今季もそうなんですけど、今後のスケート界とかいろいろなことを考えると、後進の存在はかけがえのないものです。僕もこの五輪を含め、スケートを通してすごく貴重で特別な経験をさせてもらいました。多くのことを学ばせてもらったので、そういう財産を僕の中だけで持っているというのは、これほどもったいないことはない。僕も今後、次世代を担う後進にこの経験や学びを伝えられるような人材になりたいなと強く思います。

――結団式で「ソチでは国民の皆さまに伝えたいことがある」と言っていましたが、それは今回伝えられましたか?

 どうですかね。ベストの「エデンの東」(SP)ではなかったし、ベストの「火の鳥」(FS)ではなかったので、どうか分からないですけど、僕は本当に精いっぱいやりました。思いを伝えようと氷の上に立ったので、伝わってくれていたらうれしいですけど、なんせベストではなかったので。ただ、まだ世界選手権があるので、そこでも多くの方々が見守ってくれると思うし、世界選手権は「エデンの東」と「火の鳥」の最終公演ですから、本当にすべてを懸けます。それができた暁には世界選手権のメダルは僕の手に収まると思っています。でも、やっぱり五輪は悔しいですね。世界選手権に向けて頑張りますよ。

――今回の結果を受けて、4年後のことはやはり考えられないですか?

 23歳の僕が、4年後の最終目的地のフラッグを立てることはできないです。ただ4年前の僕はそれをやったんですよ。19歳の僕は、23歳の僕が五輪に出場していることをイメージし、「ソチ五輪に出ることが僕の夢だ」とフラッグを立てて頑張ってきたんです。それから4年が経って、23歳の僕がフラッグを立てられるかというと、そういう年齢じゃないので、1年1年、1日1日、誠心誠意歩んでいくことしか僕にはできないです。もしかしたらその先に平昌(ピョンチャン)が待っているかもしれないし、違う道があるかもしれない。それは分からないですけど、今の僕は1年1年全力で歩んでいくことしかできないですね。

<了>

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

2/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント