“新世代”が存在感を示せるか=NBAオールスター・ウィークエンド
ウィザーズ躍進の立役者となっているウォール。初のオールスターでのプレーに注目が集まる 【Getty Images】
近年のドラフト1位がそろって初出場
その構図は、16日に行われるオールスターゲームでも変わらないが、今回は、ジョン・ウォール(ワシントン・ウィザーズ)、デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)、カイル・アービング(クリーブランド・キャバリアーズ)、アンソニー・デイビス(ニューオーリンズ・ペリカンズ)ら、次代を担うであろう選手たちが初出場を決め、これまでとは違う空気をもたらそうとしている。
その中でも注目は、2010年のドラフトで全体の1位指名を受けたウォールだろう。才能あふれる司令塔は、今季は長く低迷を続けてきたチーム躍進の原動力となっている。ウィザーズは東地区の6位につけ、6シーズンぶりとなるプレーオフ進出が見えてきた。
同じくポイントガード(PG)として、チームをけん引するリラードは、1年目の昨季からオールスタークラスの活躍を見せていたが、今季はより安定感が増してきた。前評判が低かったトレイルブレイザーズが白星を積み重ねているのは、彼の貢献によるものだ。今回のオールスターでは控えだが、遅かれ早かれ、スターターの座を獲得することだろう。
11年のドラフトで1位指名されたアービングも、キャリア2年目ながら非凡な才能を発揮している一人。前半戦を終えて、1試合平均21.5点、6.2アシストと、高いスタッツをマークしている。キャバリアーズがギリギリのところでプレーオフ争いに踏み留まっているのは、21歳のPGによるところが大きい。
デイビスもまた12年のドラフト1位選手だが、1試合平均20.5点、10.1リバウンド、3.07ブロックと、高いスタッツを記録。なかでもブロックは断トツでリーグトップとなっている。
節目のオールスターとなるか
今回のオールスターをそれだけで“世代交代”と位置づけるのは早急だが、ちょうどジェームズらがオールスターに出始めた頃は、アレン・アイバーソン(13年10月に引退)などが、リーグの顔だった。
ジェームズとウェイドがそろって初出場を決めた05年のオールスターにおいて、そのアイバーソンがMVPになったが、試合後の会見で、彼はこのようなコメントを残している。
「彼(ジェームズ)には言ったんだ。自分をこれまで支えてくれた人のことを決して忘れるなってね」
オールスター選手にもなると、利用しようとする腹黒い大人たちが近寄ってくる。そのような連中に惑わされず、支えてくれた人たちのことを大切にしろ、ということだった。
また、「自分が今までしてきたことで、誇れることなんてない。だが、それ(支えてくれた人たちのことを大切にすること)を理解していることは、誇れる。良いバスケット選手である前に、いい人間でありたい」とも話したが、それは、そっくりそのまま、ジェームズたちに向けたメッセージでもあった。
あのとき、会見場で彼が話す言葉を、メモを取るのも忘れて聞き入った。それぐらい、彼の言葉には引きつける力があった。今振り返れば、アイバーソンはあのとき、ジェームズらにバトンを渡そうとしていたのだろう。
では、今回のオールスターゲームがどういう意味合いを持つのか。
その答えが出るには、もう少し時間を要するのかもしれないが、ジェームズたちが、若手選手たちにどのようなメッセージを送るのか、あるいは、まだまだ主役の座は譲らないと、圧倒的な力の差を見せつけるのか、という点で興味深い。
時代の変化を感じられるような、節目のオールスターとなりうるのか。ウォール、リラードら、新世代の選手に注目だ。
<了>
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ