オルフェーヴルは生産界でも人気沸騰!=すでに「予約満杯」 海外からも熱視線

橋本全弘

早くもディープ、キンカメと並ぶフィーバーぶり

オルフェーヴルは生産界でも人気沸騰中、早くも「完売」状態だ 【写真:中原義史】

 22日、千葉・中山競馬場で行われたグランプリ・有馬記念に、引退レースとして臨んだオルフェーヴル(牡6歳)は後続に8馬身差をつける圧倒的な強さを見せ付けて有終の美を飾った。
 これで現役を引退することになるが、サラブレッドにとっては次なる大きな仕事が待ち受けている。言うまでもなく自らの優秀な血を後世に伝えるべく、種牡馬として“第二の人生”がスタートするのである。

 種牡馬ライフはディープインパクトやキングカメハメハなどの優秀な種牡馬がけい養される日本最大のスタリオン・社台スタリオンステーション(北海道安平町)でスタートすることになるが、そのオルフェーヴルに対して早くも種付け依頼が殺到、シンジケートの60株は予約満杯状態だという。有馬記念の前に600万円の種付け価格が設定され予約受付や予約状況などは「近日発表」とされていたが有馬記念後はいきなり「満口」。それでも種付け依頼は引きも切らず「有馬記念前で600万と設定されていたんですが、あの勝ちっぷりですからね。今から申し込んだら800万円とか1000万円とか言われても当然でしょう。それでも付けたいでしょうね」と話すのは牧場関係者。GI牝馬を所有するある馬主も「種付けはディープインパクトを申し込んでいて、ダメだったらオルフェーヴルを……と考えていましたが、それも難しいみたいです」と肩を落とす。種牡馬としては未知数のオルフェーヴルながら、実績あるディープインパクトやキングカメハメハなどと肩を並べる「予約満杯」。まさしく生産界では早くもオルフェフィーバーが始まっている。

受胎した繁殖牝馬を海外から買い付けるケースも

悲願こそならなかったものの、凱旋門賞2年連続2着の実績は海外ホースマンが高く評価している 【提供:橋本全弘】

 一般的に新種牡馬は、スタリオンに入るとまずは種牡馬としての体力作りに入る。種付けシーズンは2月下旬から始まって6月末まで。わずか4カ月間だが、種付けシーズン佳境に入ると1日3〜4回の“お勤め”があり、それに耐えられる、気力、体力を蓄えなくてはならないのだ。種付け開始前には、精虫検査、牝馬に興味を見せるかどうか、うまく種付けが出来るかどうかの試験種付け……などが行われ、種牡馬としての適性があるかどうかが徹底的に調べられるのである。
 優秀なサラブレッドが必ずしも優秀な種牡馬、というわけでもなく、かつて米国馬でブリーダーズCやドバイワールドカップを優勝、16連勝も記録したシガーは約30億円の種牡馬シンジケートが組まれたが後に無精子症であることが判明。結局1頭の産駒も残すことなく引退した。

 こういった手順を踏んで種牡馬人生をスタートするオルフェーヴルはすでに生産界から“引く手あまた”状態なのだが、そればかりか海外のホースマンからも熱い視線が投げかけられている。
 言うまでもなく、その理由は凱旋門賞2年連続2着という実績だ。「国内での競馬も確かに強かったですが何といっても凱旋門賞2年連続2着ですからね。世界のホースマン達の脳裏にもその強さは強烈に焼きついている。そのオルフェーヴルがラストラン有馬記念で何と8馬身差の圧勝劇を演じた。今はグローバルな情報化時代。有馬記念のレース映像は世界各国に伝わりますし、改めてあの強さを見れば世界のホースマン達も種牡馬としての魅力を感じないわけがありません」と生産関係者。日本に繁殖牝馬を連れて行って種付けするということは物理的に難しいかもしれないが、オルフェーヴルを受胎した繁殖牝馬を海外から買いに来るケースは十分考えられるというのだ。

1/2ページ

著者プロフィール

 1954年生まれ。愛知県出身。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業後、スポーツニッポン新聞東京本社に入社。87年、中央競馬担当記者となり、武豊騎手やオグリキャップ、トウカイテイオー、ナリタブライアンなどの活躍で競馬ブーム真っ盛りの中、最前線記者として奔走した。2004年スポニチ退社後はケンタッキーダービー優勝フサイチペガサス等で知られる馬主・関口房朗氏の競馬顧問に就任、同オーナーとともに世界中のサラブレッドセールに帯同した。その他、共同通信社記者などを経て現在は競馬評論家。また、ジャーナリスト活動の傍ら立ち上げた全日本馬事株式会社では東京馬主協会公式HP(http://www.toa.or.jp/)を制作、管理。さらに競馬コンサルタントとして馬主サポート、香港、韓国の馬主へ日本競馬の紹介など幅広く活動している。著書に「名駿オグリキャップ」(毎日新聞社)「ナリタブライアンを忘れない」(KKベストセラーズ)などがある。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント