ウインターカップでの経験が今の土台に!=間宮佑圭×渡嘉敷来夢 特別インタビュー

松原貴実

ライバルがいたからこそ成長できた

今ではともにJXに所属し、頼れるチームメートとしてプレーする2人 【加藤よしお】

――やっぱりそういう経験が自分の中の引出しの1つになっているとか、そういう思いはありますか?

間宮 そうですね、あのころの経験が今の自分の土台になっていることは間違いありません。
 さっきも言ったように精神面ですごく鍛えられたし、コツコツ積み重ねたことがあって、今の自分にたどり着いたという思いはあります。

渡嘉敷 自分の場合は高校で学んだことがすべての土台になっています。練習はもちろんですが、成徳との決勝戦も同じですね。成徳とはインターハイとかウインターカップとか、年に何度かしか対戦できなかったんですが、その時センターとして本当の戦いができたっていうか。それまでの予選は相手にそれほど長身のセンターもいないので、「大型センターがいて、外回りの選手もいる」という、同じプレースタイルで戦えたのは成徳だけでした。だから、成徳と戦う決勝戦は自分にとってすごく大きな経験の場でした。今でも間宮さんがいる成徳がいてくれたから自分も成長できたと思っています。

――それではそのあこがれの間宮さんがいるJXに入った時はどんな気持ちでしたか?

渡嘉敷 最初は「(胸の前で両手を合わせて)ああ間宮さん、間宮さん」という感じでしたが、しばらくすると、「(片手で軽く手を挙げ)あっメイさん!」という感じに変わりました。(笑)
 コートの上とは違って、普段のメイさんには全然オーラがなかったから!

間宮 アハハ……、ちょっとぉ(笑)

渡嘉敷 ほんと、コートの上のあの頼もしいメイさんとは全然違うんですよね。

間宮 アハハ(笑)、ひょっとして愛されキャラなのかしら?

渡嘉敷 全然違いますね! たとえば自分たちがふざけていてもすぐ乗っかってくるんで、最初は付き合ってくれてるのかな?と思ってたんですけど、実は自分が1番楽しんでいたという(笑)

間宮 アハハ(笑)。

大きなプレッシャーを乗り越えアジア女王に

間宮不在のチームで大きな成長を見せた渡嘉敷。アジア選手権でもプレッシャーのかかるフリースローを決めた 【加藤よしお】

――では、間宮さんから見た渡嘉敷さんはどんな感じですか?

間宮 見てのとおり明るい性格で、普段はおかしなことをやってふざけてます(笑)。けど、まじめな話をすれば、選手としてここ数年で本当にたくましくなったと思いますね。特に私がケガで戦線離脱した時……

渡嘉敷 あっダメ、ダメ、ダメ。

間宮 この話をするとタクはいつも泣いちゃうんですよ(笑)

渡嘉敷 だってメイさんがケガした時、自分は本当に苦しかったんです。これまでメイさん、メイさんと頼ってきたのに、その人がいなくなって自分はどうしたらいいんだろうと思って。メイさんのポジションを代わりにやるといっても普段やってなかったからその焦りもあったし、どうしたらいいのか分からなくて、すごくパニクッたりもしました。
 でも、やらなきゃいけないわけだし、最後はミスしてもしょうがないと開き直ってコートに立ちました。

間宮 でも、そのおかげでタクのプレーの幅が広がったから、それまでみたいにローポスト、ハイポストと固定されるんじゃなくてプレーのバリエーションを増やすこともできました。私がいなかった時間にタクは本当に頑張って頼もしくなったと思います。

――渡嘉敷さんのその頼もしさは43年ぶりにアジアのトップに立ったアジア選手権(10月27日〜11月3日までバンコクで開催)でも感じましたね。高さを存分に生かした堂々たるプレーはもちろんのことですが、オーバータイムに持ち込んで勝ち切った韓国戦でのフリースローも印象に残っています。この2本を決めれば同点という場面で、感じたプレッシャーは相当大きかったと思うのですが。

渡嘉敷 決めないといけないというプレッシャーは確かにありましたが、そのプレッシャーに負けられないという気持ちの方が強かったです。

――間宮さんはあのフリースローをどんな気持ちで見守っていたのですか?

間宮 私、あれは見てないです。(手で顔を覆って)こんな感じで祈ってました。

渡嘉敷 えっ、ウソ、見てないの? 今、初めて知った。ちゃんと見ててよ〜(笑)

間宮 いや、見てなくても信じてたから(笑)

「ウインターカップを楽しめ!」

高校生に向けて「ウインターカップを楽しめ!」とメッセージを送る2人 【スポーツナビ】

――あのアジア選手権で渡嘉敷さんはMVPとベスト5、間宮選手はベスト5に選ばれました。先ほど2人がおっしゃった『高校時代に築いた土台』の上に努力を積み重ねていった結果だと思いますが、今年のウインターカップにも『土台作り』に取り組んでいるたくさんの高校生たちが出場します。最後にその高校生たちに向けてメッセージをいただけますか。

間宮 試合を戦う以上、インターハイも国体も頂点を目指すのは同じですが、引退する3年生はもちろん、どの学年もこのチームで戦うことは最後だというウインターカップは、その年の集大成だし、やっぱり特別の思い入れがあると思います。私は結局ウインターカップで桜花に勝てなかったし、応援してくださった皆さんには申し訳ないという気持ちがありましたが、最後は楽しんでプレーできました。そのことが1番心に残っています。だから、出場するチームの皆さんには「大会を楽しんでください」と言いたいですね。高校生最後の冬の大会に出場できることはそれだけ長く今のチームで戦えるということ。それを1つのご褒美だと思って、どうか存分にウインターカップを楽しんでください。

渡嘉敷 私もまったく同じ気持ちです。ウインターカップの時期にいつもケガをしていて、ウインターカップといえばケガを思い出すほどで、自分自身は100%大会を楽しめたとは言い切れませんが、それでも振り返ると心に残る思い出はたくさんあります。勝つことが1番の目標であることはどのチームも同じだと思いますが、それだけではなく、自分たちの集大成であるウインターカップを思いっきり楽しんでほしいと思います。

間宮 この寒い時期の東京体育館を思い浮かべると「ウインターカップ!」って感じがするよね。

渡嘉敷 やっぱり特別感がありますよね。

間宮 みんな頑張って、そしてウインターカップを楽しめ!

渡嘉敷 楽しめ!(笑)

<了>

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著者プロフィール

大学時代からライターの仕事を始め、月刊バスケットボールでは創刊時よりレギュラーページを持つ。シーズン中は毎週必ずどこかの試合会場に出没。バスケット以外の分野での執筆も多く、94『赤ちゃんの歌』作詞コンクールでは内閣総理大臣賞受賞。

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