バロンドールはC・ロナウドで決定!?=FIFAに色濃く残る“ご都合主義”

FIFAの思惑が働くバロンドール投票の再開

CロナウドがW杯予選プレーオフで輝きを見せた直後、バロンドールの投票が再開された 【Getty Images】

 ワールドカップ(W杯)予選プレーオフの2試合でクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)が驚くべき活躍を見せて間もなく、FIFAは既に締め切りを迎えていたFIFAバロンドール2013の投票を突然に再開した。

 毎年同じ選手、つまりリオネル・メッシ(バルセロナ)が受賞し続けるのを避けたかったのだろうが、近年FIFAがこれほどはっきりと1つの意向を示したことは非常に珍しい。こうした動きはマーケティングの観点や同賞に多様性を持たせるためには歓迎すべきことではあるが、モラルやスポーツの平等性という意味では問題視せざるを得ない。

メッシもロナウドの優位を認める

 そもそもクリスティアーノ・ロナウドは2013年のバロンドール受賞に相応しいのか? 答えは間違いなくイエスだ。
 メッシはいくつかの試合で超ハイレベルなプレーを見せた反面、今年はケガがちで継続して高いパフォーマンスを保つことができなかった。対照的にロナウドは重要なチームタイトルこそ獲得できなかったものの、代表でもレアル・マドリーでも非常に安定した活躍を見せ続けている。

 今年は昨季チャンピオンズリーグを制したバイエルン・ミュンヘンで素晴らしい活躍を見せたフランク・リベリが3人の最終候補に残ったことも新たな出来事だった。昨季3冠を獲得したバイエルンについてさらに言えば、ボルシア・ドルトムントとの決勝で決勝点を決めたアリエン・ロッベンがこの3人に含まれていたとしても、異論を唱える者は多くなかったはずだ。

 だが負傷離脱を繰り返すメッシがバルセロナで継続的にプレーできない状況が続く中、各国メディアは徐々にロナウドを最有力候補として推すようになり、遂にはメッシ本人まで「彼は並外れた状態にある」とロナウドの優位を認めるに至った。

 またメッシは、ロナウドが「良い準備をすればケガすることもない」とケガ続きの自身の現状を暗に示唆するコメントを発した後、フランスをW杯の優勝候補に挙げることでリベリへの配慮も口にしている。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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