錦織圭、1年を戦い抜いて得た地位と自信=来季こそ満を持してトップ10挑戦を
ツアー終盤、疲労との戦いで得たもの
シーズン終盤は疲労との戦いでもあった。BNPパリバ・マスターズのツォンガ戦では試合中にマッサージを受けながら、接戦を制した 【Getty Images】
それでも彼は、全ての選手が疲弊し、どこかしらに故障を抱えるシーズン終盤の4大会で、貴重な315ポイントをつかみ取った。これは現在、錦織が保持する総ポイント数の、約16.5%に相当する。ケガを抱えていたころには、無理せず休んだ方がいいのではという声もあっただろうが、結果として最後まで戦い切った実績が、本人の「体が強くなり、ケガが少なくなっている」との実感と自負につながった。
今季の錦織は、帯同トレーナーなどのチームスタッフを一部変えた。彼らは、試合をしても悪化しないケガかどうかを慎重に見極めた上で、いけると踏んだ場合は、「単に休むだけでは抜本的な解決にならない。試合の中で動かし鍛えながら、治していく」という判断をも時に下してきた。そして実際に、深刻な事態には至らず長いシーズンを最後まで戦い抜いた。結果、ランキング20位以内の確保という実利と、自信という大きな副産物を得たのである。このことは、来季に向けた大きな足掛かりになるはずだ。
雲の上の聖域ではなくなった“トップ10”
頂上の空気を感じる地点に確固たる足場を固め、来年はいよいよ、さらに上を目指すアタックの機を迎える。今年1年の戦いを通じ、その頂の空気の薄さも、踏破のために必要な体力も、錦織は身をもって体験し学んできた。そんな彼にとって、トップ10は、もはや雲の上の聖域ではないはずだ。
<了>