箱根駅伝、予選会通過はどう決まる?=本戦とは異なるルールと走り方に注目
19日に箱根駅伝予選会が開催。本戦とは異なるルールや各校の戦略に注目したい 【写真は共同】
本戦出場校の決定方法
予選会は、本戦のように駅伝方式で競うのではなく、20キロのコースを各チームが一斉に走り、その合計タイムで争う。各チームエントリーは14人まで認められる。そのうち当日のレースに出場するのは12人まで。その上位10人の合計タイムが少ないところから順位が決まり、13位までのチームが本戦に進む。
どんなに速い選手がいても9番目、10番目にフィニッシュする選手が遅れれば、チームとしてのタイムは下がってしまう。2011年に行われた第88回の予選会、過去12回の総合優勝を誇る日本大学は、3人の選手が個人で10位以内に入りながらも、それに次ぐ選手たちが遅れ、レース順位は11位。関東インカレポイント(=後述)でも救われることなく落選したことがある。
また先に10人がフィニッシュしても、タイムの合算により、後になって10人がそろった大学が上位に来ることもある。見た目の順位だけで決まらないのが予選会の面白さだ。
今大会のルール変更点
第79回大会から、落選した大学の上位選手を集め、「関東学連選抜」として本戦に出場していたが、今回その選抜チームは編成されないことが決まっている(第91回大会から再度、編成される)。よって、今大会はチームとして出場権を獲得できなかった選手が、箱根駅伝を走る機会はない。
また同じく第79回大会から運用されていた「関東インカレポイント」が今回から廃止になった。これは毎年5月に行われる関東学生陸上競技大会(通称、関東インカレ)の総合順位やエントリー数をポイント化し、タイムに換算したもの。前回大会までは、出場枠の下位3校は予選会の合計タイムからインカレポイント分のタイムを引いて、順位が競われていた。これまで、関東インカレポイントによって順位が入れ替わるドラマが度々起こっていたが、今回からは純粋に予選会のタイムだけで出場権が争われることになる。
予選会突破のためのポイント
予選会は10人の合計タイムで争われる大会。すなわち12人の出場のうち脱落が許されるのは2人まで。3人が大きく遅れると、チームの順位も大きく影響を受ける。通過には「失敗しないで確実に走る」ことが第一条件だ。
そのため、ペース管理に長けた選手を軸に集団を形成し、それに合わせて走る「集団走」を取る大学が多い。レースでは同じユニホームが固まって走っている姿を見ることができるだろう。仲間が近くにいる安心感に加え、あらかじめ決められたペースを守ることで体力の消耗を最小限に防ぐことが狙いだ。チームによっては走力に合わせ、2つ、さらに3つの集団を作ることもある。そしてラスト5キロからは各選手が一秒でもタイムを削るように集団を崩し、全力で走ることが一般的だ。
もちろん全員が集団走を行うわけではない。エースは先頭に近い位置を争うことでチームに貯金をもたらすことを目指す。
タイムを稼ぐ選手、ペースを作る選手、それに従う選手――12人の選手の役割はそれぞれに異なっている。
本戦出場が有力なチームは?
出場校の戦力を見ると山梨学院大と上武大の2校がトップ通過の有力候補だ。山梨学院大はエノック・オムワンバ(2年)というエースと、それを支える井上大仁(3年)の2枚看板が強力。さらにトラックよりロードを得意とする選手が多いのが強みだ。
上武大はユニバーシアード(7月、カザン)・ハーフマラソン4位の山岸宏貴(4年)、今年の東京マラソンを2時間15分10秒で走った佐藤舜(3年)など、こちらもロードに強い選手がそろっている。
とはいえ、どんなに戦力がそろっても予選会では他にはないプレッシャーがかかる。どの大学も緊張感を持って臨むに違いない。
<了>
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