帝京大ラグビー部、圧倒的強さの理由=充実の戦力と綿密な計画で5連覇へ

向風見也

「小さなプレーを意識」で、147得点の圧勝

昨年、大学選手権4連覇を達成した帝京大。今季も日体大に147−0で勝利するなど、圧倒的強さを発揮している 【写真は共同】

 147−0。大学選手権4連覇中の帝京大ラグビー部は、所属する関東大学対抗戦Aの日体大戦で今季最多得点を挙げる。
 10月6日、東京は八王子の上柚木公園陸上競技場である。ボールを持つランナーがタックラーを順番に蹴散らし、後方から迅速かつ分厚いサポートが続いた。空いたスペースの前では、別の走者が手ぐすね引いてパスを待った。エラーは最小限にとどまった。

 9月15日の開幕以来、前年度の下位チームに2連勝も内容には誰もが不満足だった。この午後の3戦目を前に、プレーの激しさと正確さが重要だと再確認。結果、合計23トライを記録した。

「こういうゲームは評価しづらいのですけど」
 試合後、勝った中村亮土主将が取材に応じる。この部には「論理的かつ過不足なく、他人を傷つけない範囲で自分の気持ちを伝えるソフト」がインストールされているようだ。その中心にいる中村は、端正な口ぶりでこう続けるのである。

「一番の収穫は、最後まで集中力が切れなかったことです。これまでの2試合はミス、ペナルティーが多くリズムに乗れなかった。プレッシャーがそんなに強くないなかではありましたが、キャッチ、パス、ブロー(ラックで相手を排除すること)、ダウンボール(倒れた際に味方側にボールを置くこと)と、小さなプレーを意識し続けられました」

「打倒トップリーグ」を目標に掲げる

 就任17季目の岩出雅之監督は今季、5年連続5度目の大学日本一のみならず、「打倒トップリーグ(TL)勢」を目標に掲げる。順当にいけば、日本最高峰であるTLの上位チームとはシーズン終盤の日本選手権で対戦できる。

「学生生活に全てをかけるのも大事だけど、次につながる努力をすることも大事。その具体的な基準を打倒TLとする方が選手にも分かりやすいと思って。ウチにはTLに行く選手もいますから。簡単なことじゃないと分かっている。焦らず、目の前のことをしっかりやって、まずはクロスゲーム(接戦)になるようにはしたいですね」

 春から夏にかけ、TLチームへの出稽古も定期的に行った。以前は怪我や学業への差し障りを懸念して控えていたが、このシーズンは相手の力感、圧力に、学生を「慣れさせ」たいと考えた。

中村主将「積み重ねていくことがTLのチームに勝つ近道」

 行動指針は「立ってプレーすること」。実際に一度も倒れずに試合を終えるのは不可能だが、数年来、多数の専門スタッフのもと徹底した栄養指導と肉体鍛練を重ねてきた帝京大は、格上を驚かせるのに必要な強みをその一語に込める。

 日体大戦では、最前線でぶつかるフォワード同士がパス交換をしたり、狭い区画にスタンドオフの中村が仲間を引き連れて突撃を図ったりと、多くのカードを無理なく切った。攻撃方法の引き出しを増やして、相手の守備に的を絞らせないチームを目指す。結果、強いライバルを向こうに「立ってプレーすること」とのコンセプトを貫きたいのである。

「打倒TL勢」に向け、手応えありか。「論理的かつ過不足なく」の体現者、中村主将はこう答えるのだった。
「対抗戦、大学選手権と積み重ねていくことがTLのチームに勝つ近道だと思っています。しっかり、いまやっている小さなことや、力強さのアップを積み重ねていきたいです」

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著者プロフィール

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年よりスポーツライターとなり、主にラグビーに関するリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「スポルティーバ」「スポーツナビ」「ラグビーリパブリック」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会も行う。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)。

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