五輪競技に復活へ野球界にいま必要なこと=「ミスターアマ野球」杉浦正則が示す道
アマ選手にも日本代表に選ばれるチャンスを
杉浦さんは、野球界の活性化に日本代表チームへのアマの進出を切望する。シドニー五輪で杉浦さんらアマと、黒木知宏(右、当時・ロッテ)らプロの混成チームで臨んだ 【写真は共同】
「オリンピックの商業的なところではプロ野球やメジャーの参戦なのでしょうけれども。僕の立場だとアマチュアにも選ばれるチャンスがあってほしい」
もしも野球が五輪において競技復活を果たして、チーム編成の段階になった時という問いに対して、そのように杉浦は切望しながら続けた。
「確かにプロには力や技があります。ただ、アマチュアの選手は一戦必勝のトーナメントに慣れている。チーム作りをしていくうえで、プロにはいないタイプの選手がアマチュアにいることだってあるでしょう。また、アマチュアのトップクラスの選手は後にプロへ行くケースも多い。プロとアマチュアの選考合宿の機会などがあれば、何が足らないのかを肌で感じ取って成長できると思うんです。そして、レベルの高い部分に触れることで……こういう練習をしていたよ、こんな高い意識だったよと、自身の所属するチームに戻った時に還元することもできる。これがプロとアマチュアの活性化、本当の野球界の活性化に。長い目で見て、野球の競技国が増えることにもつながるはずです」
決して五輪の為だけではない。今後も野球という素晴らしいスポーツが永遠に誰からも愛され、世界的に普及することを誰よりも強く願っている。「ミスターオリンピック」もしくは「ミスターアマチュア野球」と、呼ばれた杉浦に再会して、その偉大さを痛感したとともに、野球界にはまだまだ希望が満ち溢れていると、再認識した次第である。
<了>
杉浦正則 略歴
現役引退後、2001〜04年は日本生命の投手コーチ、05年は社業に専念も翌年現場復帰。09年まで監督を務めた。