ラグビー日本代表GM・岩渕氏が語る「ジャパンの課題と可能性」

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提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

2年後のW杯に向けて追い込み

岩渕GMはデータに基づいた分析から強化すべき点を説明。質疑応答では、参加者が意見や疑問をぶつけ、熱い議論が展開された 【スポーツナビ】

 トークショーの後半は、参加者からの質問に岩渕GMが回答する形式で進んだ。ジャパンの責任者に直接モノ申す機会は多くない。この貴重な場を逃すまいと、生粋のラグビー愛好家たちはそれぞれの思いをぶつける。テストマッチや強化方針、エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)の評価、ジュニア・ジャパンの総括など、質問は多岐にわたった。その1つ1つに、岩渕GMは真摯(しんし)に答えた。

 以下は質疑応答の一部。

――エディーHCのゲームマネジメントをどう評価しますか?

 エディーHCが以前監督を務めていたサントリーと同じような戦いを、インターナショナルレベルではできないことははっきりしています。例えば、先週のウェールズ戦は今までもよりもキックが多かったと思います。いかに頭を使ってゲームを進められるか。80分同じことを続けるのは無理なので、この時間帯、このエリアではどんなプレーをするかを考えられるようになることですね。それをチームに落とし込んでいる段階です。今は2年後のW杯に向けて追い込んでいる時期で、試合の合間も練習が続いたりと、選手たちはきついかもしれませんが。

――パシフィックラグビーカップで6戦全敗に終わったジュニア・ジャパンの総括をお願いします

 今回の試みとしては、ジュニア・ジャパンをうまくU−20代表の強化につなげたいという狙いがあり、ジュニア・ジャパンの7人をU−20代表にも選出しました。ジュニア・ジャパンの結果は残念でしたが、日本ではなかなか経験できない非常にタフなゲームができました。例えば、ブレークダウンやラックができたとき、そこに集まるスピードでまったく勝てませんでした。激しくしっかり当たるというラグビーのベースの部分で勝負にならない場面あったのです。従来であれば、日本のスキルの高さで勝ってきましたが、今年はスキルとフィジカルがなければ勝つことができないレベルまで上がっていました。これは日本代表の課題と同じですね。

体重と俊敏性のバランスを取れるか

――FWの体重差5キロはどれくらい大きいのですか? 以前であれば10キロ以上差があったのが、5キロ差まで縮まったような印象を受けます。それでもまだまだ差があるという認識なのでしょうか?

 我々としても体重はかなり近づいてきていると思います。ウェールズやフィジーと比べても、1人2キロしか違わないんですね。ただ、ゲームを見れば分かりますが、2キロしか違わないはずなのに、ボールが取れないという状況があります。ここは大きな問題で、もっと体重を増やせばいいのかという議論もあります。体重を増やしていい部分が消えてしまえば意味がないし、逆に言えば、体重がなくてもそこをうまくかわすことができればそれでいいわけです。そこで考えられているのが、1対1の状況を増やすことです。体重は少し軽いけど、俊敏性を生かして裏に抜けられればチャンスになります。そこのバランスを取れるか。力比べをしても勝てないけど、いかにいい状況に持ち込めるかが重要になってきます。

――エディーHCは15年W杯終了後に日本を去ると言われています。その後、19年W杯に向けてはどうなるのですか?

 契約自体が15年までです。なので、19年まで延長するかどうかは分かりません。ただ、エディーHCも他のスタッフもそうですが、15年W杯で結果が出せなければ19年W杯はありません。今は15年W杯でいい成績を残すために、力を注いでいるので、そこに全精力を傾けてもらうまでです。

<了>

協力:(公財)日本ラグビーフットボール協会

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