ゴールドシップ芦毛伝説に新ページ=“正攻法”で圧勝することの意義

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完全決着はまだ……最強馬へ突き進むのみ

芦毛伝説に新たな1ページ、このまま最強馬の道を突き進むのみだ 【スポーツナビ】

 タマモクロス、オグリキャップのような豪快な末脚を繰り出すことができ、また一方でメジロマックイーン、ビワハヤヒデのような好位からの横綱相撲もできる――これでゴールドシップはまた一歩、競馬史を彩った芦毛伝説の先輩たちに近づいたのではないか。

 だが、陣営からはおごりや慢心といった雰囲気は微塵も感じられない。須貝調教師が力を込めて言う。
「頂点に立ったわけですから、ここに挑戦してくる馬が次々と出てくる。下の世代にはキズナもいますし、それらに負けないように、もっともっと強い馬に仕上げていきたい」
 キズナだけではない。そもそもオルフェーヴルとはまだ決着どころか、対戦すらしていない。「オルフェーヴルは強い。チャレンジャーとして胸を借りたい」と内田博は、自分たちはまだまだ挑戦者の立場であることを強調。また「ジェンティルドンナは遠征明け初戦でしたし、フェノーメノもきょうの馬場には苦しんだと思う」と、同世代2強との完全決着もまだ先であることも付け加えた。

 秋のローテーションは「オーナーサイドと話し合ってから」と現時点では白紙。しかしこの先、今回戦った同世代2強に加えて、オルフェーヴル、キズナらと対戦する機会がきっと来るだろう。
「負けることを怖がっては馬も強くならない。怖がらずに、今後も挑戦していきたいですね」(内田博)
 ここがゴールではない。“最強馬への航路”はまだまだ続きがある。ゴールドシップと内田博は一直線に突き進むのみだ。

ジェンティルドンナ“恨みの雨”

恨みの雨……ジェンティルドンナは重い馬場に切れ味を殺され3着完敗 【スポーツナビ】

 一方、1番人気に支持された岩田騎乗のジェンティルドンナは直線伸びず。完敗の3着、と言っていいだろう。直線坂をグイグイ駆け上がっていくゴールドシップについていくことができず、早め先頭で粘りこむ伏兵ダノンバラードもかわせず、3番目でのゴール。さすがの岩田もレース後はガックリと肩を落とした。

「前半で力んで走ってしまったのが……」
 ジョッキーが語ったように前半はややエキサイトしていたジェンティルドンナ。無理に抑え込んで位置を下げず、なんとかなだめながら乗ってはいたものの、折り合い完ぺきとまではいかなったようだ。そして、一番の足かせとなったのが馬場だった。
「重い馬場で切れ味が生かせませんでした。それでも頑張ってくれると思ったんですが……」
 週半ばは雨が降り続け、この日も天気予報は曇りだったが、小雨がパラつく不安定な天気。良馬場発表でも実際には水分を含んだ重い馬場であることは明らかだった。しかし、これも勝負の世界。切れ味身上のジェンティルドンナにとっては“恨みの雨”となってしまった。

フェノーメノも馬場に泣く

フェノーメノも雨に泣く、鞍上・蛯名も厳しい表情を浮かべた 【スポーツナビ】

 水分を含んだ重い馬場に泣かされたジェンティルドンナ同様、このフェノーメノも馬場に末脚を絡め取られてしまった。
「思ったより馬場が合わなかった、というのが正直なところです」と戸田調教師。発馬でつまずき後手を踏んだことも痛かったが、何より最大の敗因は馬場に尽きる、という。トレーナーが続ける。
「追い出してからの反応がなかったですね。同じような位置からゴールドシップはサッと動いていったのに、こちらはモタモタしてしまった。この馬場をこなしきれなかったということだと思います」

 しかしながら、「これも経験」と戸田調教師は前向きにとらえている。
「まだ良くなる部分を残している馬ですし、きょうの経験を糧に一皮むければと思います。ゴールドシップには離されたけど、実際にジェンティルドンナとはジャパンカップでの差を詰めているわけですから」
 今後は休養を挟み、天皇賞・秋→ジャパンカップ→有馬記念の古馬王道路線を目指すフェノーメノ。この敗戦を大きな経験とし、さらにもう一回り強くなって帰ってくる秋に期待したい。

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