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スカウト評上げた初V上武大の三木、横田
大学野球選手権で見た注目の逸材たち
大会MVP、最優秀投手賞を獲得し、上武大初の大学日本一の原動力となった横田
大会MVP、最優秀投手賞を獲得し、上武大初の大学日本一の原動力となった横田【島尻譲】

 粒ぞろいと評されている今秋ドラフトの大学生有力候補。6月11日から16日まで開催されていた第62回全日本大学野球選手権大会(明治神宮球場・東京ドーム)ではプロ12球団をはじめ、社会人野球やメジャーリーグのスカウト陣も連日、ネット裏に足を運んでいた。従来ならば1〜2回戦を視察して各担当地区へ戻るスカウトも多いのだが、大学生ナンバー1と評されている大型右腕・大瀬良大地(九州共立大)が今大会に駒を進められなかったために、有力候補を慎重に見極めるべく決勝までスカウト陣の大半が居残る球団もあった。

「井端のようないぶし銀」三木が急上昇

174センチと小柄ながらパンチ力のある打撃を見せた三木。プロ野球スカウトの評価も急上昇した
174センチと小柄ながらパンチ力のある打撃を見せた三木。プロ野球スカウトの評価も急上昇した【島尻譲】

 そのような中で最も評価を上げたの大会初優勝の原動力となった上武大の3番・遊撃手の三木亮だ。高校時代から定評のあった堅守に加え、小柄(174センチ・76キロ)ながらもパンチ力があり、大会5試合で8打点という勝負強い打撃はひときわ輝いていた。

「井口資仁(千葉ロッテ)とまでは言わなくても、のちのち、井端弘和(中日)のようないぶし銀で息が長い選手になれそうだ」と某球団スカウトは寸評する。


 4完投(1完封)で大会最高殊勲選手賞と最優秀投手賞を獲得した左腕・横田哲(上武大)も平均130キロ台後半のストレートはキレがあり、スクリュー気味に沈むチェンジアップも効果的で、今春の関甲新学生リーグで8勝を挙げたのも納得のマウンドさばきを見せた。

「車で例えたら、流行りのエコ&スモールカー。これを良い方向に判断したいですね」という前向きな声も聞こえてきたが、身体的キャパ(171センチ・70キロ)に首を傾げるスカウトもいたのは否めない。


 その他の投手で目立ったのは準々決勝の富士大戦で6回無安打投球を見せた明大の関谷亮太、コーナーワークが圧巻の小野和博(桐蔭横浜大)、力感溢れるボールを投げ込む九里亜蓮(亜細亜大)といった面々。関西の白濱尚貴(京都学園大)、岩橋慶侍(京都産業大)の両左腕も敗戦こそしたが、持ち味を存分にアピールすることはできた。

評価が分かれた明大・岡、福岡大・梅野

投打“二刀流”の明大・岡はスカウトの評価が分かれた
投打“二刀流”の明大・岡はスカウトの評価が分かれた【島尻譲】

 投手と野手の二刀流で注目される岡大海(明大)はスカウト陣の評価が大きく割れた。投手としても150キロ超のボール投じる逸材であるが、荒削りながらも長打力のある打撃の方がプロ12球団のスカウトには魅力的に映っているようだ。準々決勝・富士大戦の左翼への2ランはもちろんのこと、準決勝・上武大戦でも苦することなく外野へ打球を運ぶ(中犠飛)などでそれを実証したものの、

「大型選手だけれども、糸井嘉男(オリックス)のような力感のメリハリがない」

「覇気がないように見える。それが力みのない彼のスタイルなのかも知れないけれども……」

「プレー以前にユニホームの着こなしがなっていない」

 というような厳しい声も多数挙がった。


 同様に福岡大の捕手・梅野隆太郎もスカウト陣の好みが真っ二つ。

「慢性的に人材難のポジションではあるし、北川博敏(オリックス2軍打撃コーチ)のように捕手以外で起用するパターンになるかもね」

 そのようなスカウト陣の声を裏付けるかのように1回戦・中部学院大戦で2点ビハインドの8回裏、センター左への同点2ランを放つなどの打力に関しては文句なし。しかし、捕手としてスピードはあるけれども、スローイングが安定しない部分が今大会では多く見受けられた。

 同じく捕手の嶺井博希(亜細亜大)は高校時代から全国大会の場数を多く踏んでいる。派手さはないけれども、冷静なインサイドワークを今大会も随所で見せた。課題であった打撃も俊足を生かしてのスイッチヒッターから右打席のみに専念することで高打率を残せるようになる。チーム事情で前後の長打力のある打者の繋ぎ役に徹することもできるのでスカウト評も安定している。


 ここに名前を挙げた多くの選手が日本代表選考合宿に招集され、7月6日から開催される日米大学野球選手権(松山・広島・宇都宮・東京)のメンバーとして名を連ねることになる。また、ラストシーズンとなる秋に奮起して、さらに評価を上げたいところである。


<了>

島尻譲

 1973年生まれ。東京都出身。立教高−関西学院大。高校、大学では野球部に所属した。卒業後、サラリーマン、野球評論家・金村義明氏のマネージャーを経て、スポーツライターに転身。また、「J SPORTS」の全日本大学野球選手権の解説を務め、著書に『ベースボールアゲイン』(長崎出版)がある。

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