日本ラグビーに大金星呼び込んだ大学生=筑波大2年・福岡堅樹の失敗と成長
第1戦で手痛い失敗、判断ミスからトライ許す
ウェールズとの第1戦では痛恨の判断ミスを犯したが、同じ過ちは繰り返さない。第2戦は鋭いタックルでピンチを救った。写真はアジア五カ国対抗の韓国戦 【写真:北村大樹/アフロスポーツ】
もし、あのときに確実なボールキープをしていれば……。そんなことを思っても、後の祭りである。月並みではあるが、失敗を次に生かすしかあるまい。ジョーンズHCは「本来であれば、絶対にやってはいけないプレーです。でも、彼はそれをテストマッチの中で経験した。パワフルなレッスンだったと思います」とリベンジを促す。当時の心境やいかに。福岡自身は、後にこう振り返るのだった。
「中途半端なキックから相手にトライを取られて、負けてしまった。そういうのは絶対ないようにしようと。行くのなら、自分のスピードで思いっきり仕掛けようと思いました」
高い学習能力、鋭いタックルでピンチを救う
この日、チームは粘り強い守備でウェールズの大男を追い回したが、福岡もその象徴だった。後半3分、ウェールズに自陣ゴール前まで攻め込まれ、日本側から見て左へ、左へとパスをつながれた場面だ。大外でとどめを刺そうとする対面のハリー・ロビンソンに向かって、遠い位置から一気に間合いを詰める。鋭いタックルで、相手をタッチラインの外へ追いやった。ジャパンの背番号「11」がピンチを救ったのだ。
「前半、同じような形で1本、外に抜かれていたところがあった。後半は絶対に修正しようと思っていました」
そう、前の試合の反省だけでなく、数分前の反省も生かすのである。指揮官からは俊足のほかに「聡明さ」も評価される福岡は言った。
「1試合、1試合、高いレベルを経験させてもらっている。出てきた課題は、次にもう一回出ることがないようにしようと、意識してやっています」
「大金星」、否、白星の裏には、学習能力高き若者の姿があった。
<了>