スパーズが示すNBAのグローバル化=ファイナル史上最多の外国籍選手たち

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スパーズの進出で増えた海外メディア

15人の登録選手のうち、9人が外国籍選手のスパーズ。ファイナルに進出したことによりNBAのグローバル化を物語っている 【Getty Images】

 NBAファイナル第3戦の試合前、記者会見場の横に設けられたメディアワークルームで隣り合わせたのはフランス人だった。インターネットへの接続の仕方を聞いてくる。説明するよりも早いと思って、彼のノートパソコンを引き寄せると、メニューの表示がすべてフランス語だった。
 第4戦の試合前、会場に向かうメディアバスで乗り合わせたのは、スペイン語を話すメディア。おそらく、アルゼンチンから来た取材グループだろう。前日の公開練習で、マヌ・ジノビリに密着していた。

 彼らと一緒になったのは、たまたまではない。

 今年のNBAファイナルは実に国際色豊かで、NBAによると今年は世界215カ国から取材陣がマイアミ、サンアントニオを訪れているそうだ。言語は47カ国語にも達するという。
 外国人メディアの数そのものは310人を超え、過去最高とのこと。米メディアの数は公表されていないが、感覚的には6対4か。後者がインターナショナルメディアで、バスや記者席で顔を合わせるわけである。

 海外メディアがなぜここまで多いかと言えば、スパーズのファイナル進出が大きい。
 ヒートの外国人選手は、カナダのジョエル・アンソニー1人だが、スパーズはなんと、15人の登録選手のうち、9人が外国籍選手なのである。その内の3人はフランス国籍。

アーロン・バインズ(オーストラリア)
ナンド・デ・コロ(フランス)
ボリス・ディアオウ(フランス)
マヌ・ジノビリ(アルゼンチン)
パティ・ミルズ(オーストラリア)
トニー・パーカー(フランス)
ティアゴ・スプリッター(ブラジル)
コーリー・ジョセフ(カナダ)
ティム・ダンカン(バージン諸島)

 どうりでフランスのメディアが多いわけだ。外国籍の選手が両チーム合わせて10人というのは、ファイナル史上最多でもあるそうだ。
 ただ、メディアがフランスに偏っているわけではなく、メディアの座席表を見ていると、インドネシア、フィリピン、インド、トルコ、オランダ、イギリスといった国の新聞、雑誌の名前もあった。
 フィリピンのメディアというのはこれまであまり聞いたことがなかったが、ヒートのエリック・スポールストラHC(ヘッドコーチ)の母親がフィリピン系で、スポールストラが毎年のようにフィリピンでバスケットキャンプを開いていることなどから、NBA人気が高まっているそう。スポールストラHCは、フィリピンではヒーローなのだそうだ。

NBAの国際化に火をつけたバルセロナ五輪

 NBAのグローバル化そのものは、1992年のバルセロナ五輪が大きな転機となった。
 あの年、マイケル・ジョーダン、マジック・ジョンソン、ラリー・バードらオールスターがドリームチームをつくってスペインに集結。スーパープレーでファンを魅了すると、ヨーロッパを中心にバスケットの国際化に火がついた。

 かつて、当時12歳だったスペイン出身のパウ・ガソル(レイカーズ)が、こんな話をしてくれたことがある。
「それまでサッカーとバスケットをやっていたけど、オリンピックを見て、バスケットに絞ったんだ」
 ドリームチームが、子供たちに与えた衝撃は、小さくなかった。それ以降、目に見えて外国人選手が増えた。当時、NBAの外国人プレイヤーは21人だったが、いまや85人となっている。

 NBAは、2011年からロンドンでレギュラーシーズンゲームを開催。10月になると毎年にように、ヨーロッパ各国、またアジアの国々にもチームを派遣して、プレシーズンゲームを行なっており、さらなるファン拡大に余念がない。
 そうした背景を考えれば、ファイナルに10人もの外国人選手が出ていることも、215カ国から記者らが来ていることも不思議ではないのだろう。

 インドでは今回、初めてNBA ファイナルの試合がライブ中継されているそうだ。大リーグやNFLも同じような目論みを持つが、足掛りをつかめないでいる。今回、NBAのグローバル化が改めて際立った。

<了>

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