欧州スカウトが感じたJリーグと世界の差
今夏以降の日本人の欧州移籍は鈍化する
パブロ氏がスカウト個人として、注目の日本人に挙げた乾。バレンシアのスカウティングリストでは、すでに欧州でプレーしていることが前提のようだ 【Bongarts/Getty Images】
2試合を見た上で「興味を持った日本人選手はいたか?」というこちらの質問に対して、ロドリゲス氏は「そういう視点で見ていなかったこともあり、いなかった」と答えた。逆に取材中、ロドリゲス氏からドイツでプレーする日本人選手の動向について質問を受けるなど、「現時点でバレンシアがスカウティングリストに日本人選手を入れるとすれば、すでに欧州でプレーする選手」であるのがよく分かった。特に、今季のブンデスリーガでフランクフルトの試合を3試合チェックした関係で、「乾には注目している」と珍しく個人名を挙げてスカウト個人としての興味を示していた。
今回、欧州スカウトの生の肉声をJリーグ視察中に聞くことで改めて感じたことは、Jリーグや日本人選手を欧州、世界のフットボールマーケットの中で現状を自己採点し、改善していくことの必要性だ。はるばるスペインから強豪クラブのスカウトが足を伸ばしJリーグの視察を行うことは名誉なことであり、20歳を迎えたJリーグの確かな成長でもある。しかし、商売で例えるならばお客の来店だけで満足することなく、商品を買ってもらう、できるだけ多くのお金を落としてもらうための対策を練る必要がある。初来日だからこそ率直な第一印象を語ってくれたスペイン人スカウトのコメントは、成人を迎えたJリーグへの貴重な意見として有効活用しようではないか。
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