王座転落のマキロイに足りないもの=マスターズを勝つためのカギとは!?

ファンを驚嘆させた才能!25週連続1位を維持

今季、ここまで不調のマキロイがマスターズで結果を残すことができるか!? 【Getty Images】

 北アイルランド出身のロリー・マキロイは、米国のリッキー・ファウラー(米国)や日本の石川遼とともに“若手3R”と称され、ゴルフ界の次世代を担う存在として注目されるプロゴルファー人生のスタートを切っていた。2007年に18歳でプロ入りしたマキロイ。08年に16歳でプロ入りした石川。リッキーは09年、20歳でのプロ入りだ。

 だが、マキロイが、他の2Rよりも頭1つ抜けた才能を見せつけたのが11年のマスターズだった。最終日を2位に4打差をつける首位で迎え、初メジャータイトルに王手をかけたのだ。ところが、後半に入って10番でのトリプルボギーを皮切りに突如乱調をきたし、80を叩いて15位タイに終わった。
 マキロイでもメジャーの重圧に潰されてしまうものなのか、という印象を与えたものだ。それは、“神の子”と呼ばれ若手のホープとしてデビューしながらも、未だにメジャータイトルに手が届かないセルヒオ・ガルシア(スペイン)と重なるイメージでもあった。デビュー以来、何かとガルシアと比較されることが多かったこともあり、若き才能に一抹の不安を感じたのも事実だ。

 しかし、この年、メジャー第2戦の全米オープンで2位に8打差をつける圧勝でメジャー初優勝。マスターズから2カ月余りで雪辱を果たした戦いぶりに、ゴルフファンはこの22歳が見せた並々ならぬ才能に驚嘆した。さらに、12年3月のザ・ホンダクラシックの優勝で、ついにルーク・ドナルド(イングランド)を抜き、初めて念願の世界ランキング1位に輝いた。「ちょっとの間、世界一を楽しませてもらったよ」とおどけて見せたマキロイは、わずか2週で再びルークに首位の座を明け渡したものの、その後、マキロイとルークは凄まじい1位争いを演じ続けることになる。マキロイは、8月の全米プロ選手権でメジャー2勝目を挙げ、それ以降、年をまたいで25週間世界ランキング1位の座を維持した。

ドライビングディスタンスは堂々1位も…

 今年3月、マキロイはアーノルド・パーマー招待を欠場し、この大会に優勝したタイガー・ウッズ(米国)が世界ランキング1位に返り咲いた。言わば不戦敗のような形での1位陥落なのだが、今季に入ってからの不調をかこつマキロイが、ウッズとの直接対決を回避したようにも感じられたものだった。
 マキロイの今シーズンは、欧州ツアーのアブダビHSBC選手権でスタートし、タイガーとそろって予選落ち。その後好調を見せるタイガーとは対照的に、PGAツアーでは、まったく良いところがないまま、マスターズを迎えようとしている。

 昨年と今年、マキロイの何が変わったのか。データを見ると、ドライビングディスタンスでは昨年が310.1ヤードで5位であるのに対し、今年は310.8ヤードで堂々の1位。フェアウェイキープ率は昨年の56.61パーセントで155位に対して、今年は53.17パーセントで160位。ドライバーに限っては昨年も今年も遜色はない。パーオン率も昨年の66.36パーセントで56位と今年の68.52パーセントの50位と大差はない。(データは3月31日現在)
 
 問題は、スコアメークに欠かせないショートゲームにあるようだ。マスターズ2週前のシェル・ヒューストンオープンで、あわや予選落ちという位置から最終的には45位タイまで巻き返したとはいえ、この成績ではメジャー優勝は心もとない。急遽、マスターズ前週のバレロテキサスオープンに出場することになったマキロイの作戦は、実戦でしか成否を確認できないショートゲームの精度を高めるためであったのは、想像に難くない。

 シェル・ヒューストン終了後、マキロイは「思うようなフィニッシュではなかったけれど、良い兆しはいくつもあった。それを明日、そして来週への糧にしたい。最終的には、2週間後のマスターズで」と語っている。その成果がマスターズで発揮できるのか。11年の雪辱を果たせるのか注目だ。

<了>
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

長らく週刊ゴルフダイジェストでトーナメント担当として世界4メジャーを始め国内外の男子ツアーを取材。現在はフリーのゴルフジャーナリストとして、主に週刊誌、日刊誌、季刊誌になどにコラムを執筆している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント