“鉄人”小橋建太の引退試合にふさわしい相手は!?

高木裕美

5.11引退興行は瞬時に完売

5月11日に日本武道館で引退試合をする小橋 【t.SAKUMA/佐藤崇】

“鉄人”小橋建太が5月11日の東京・日本武道館大会を最後に引退する。目の前の強敵だけではなく、病気やケガなど、数々の困難と闘ってきた小橋の最後の勇姿をこの目に焼き付けようと、すでにチケットは発売初日に瞬時に完売。改めて、小橋がこれまで、どれだけ多くのファンに勇気や感動を与え、愛されてきたのかが証明された。

 気になる引退試合のカードは31日のプロレスリング・ノア東京・後楽園ホール大会のリング上で、小橋の口から発表される。小橋のプロレス人生を語る上で欠かせない、師匠のジャイアント馬場さんと、最大のライバルだった三沢光晴さんが鬼籍に入られているのは残念だが、小橋の25年に及ぶレスラー生活の集大成にふさわしいカードとなるだろう。

ファンが支持する対戦相手は川田と秋山

対戦相手としてファンの支持を集めたのは川田と秋山(写真左) 【t.SAKUMA/佐藤崇】

 事前にヤフーで行われた対戦相手のアンケートでは、全日本プロレスでともに「四天王」プロレスを築き上げた川田利明、公私ともに小橋と寄り添ってきた秋山準、新日本プロレスの「闘魂三銃士」として常に比較され、シングル未対決の武藤敬司、2005年7月の東京ドーム大会で壮絶なチョップ合戦を繰り広げた佐々木健介などが多くの票を集めている。

 中でも特にファンの支持が高いのが川田と秋山だ。川田は高校の1年後輩として、三沢さんの影響を最も色濃く受けたレスラーであり、小橋とは超世代軍で共闘。小橋が若手からトップレスラーへと成長していった90年代を象徴する同志であり、中でも阪神大震災直後の1995年1月大阪での60分フルタイムドローは、今でも語り継がれる伝説の一戦だ。

 一方、秋山は92年9月に小橋とのシングルマッチでデビューし、以後、タッグパートナーとして、シングル王座を争う好敵手として、常に小橋を意識し続けてきた。「王者として小橋さんに勝つまでは巻かない」と、2度に渡るGHCヘビー級王座戴冠でもベルトを腰に巻くことはなく、小橋の引退発表と時を同じくしてノアを離脱。現在は小橋がかつて率いていたユニット「バーニング」の名と魂を受け継ぎ、古巣・全日本を主戦場にしている。

引退ロードがあれば…見たかった橋本Jr戦

常に全力ファイトで戦ってきた小橋のラストを締めくくる対戦相手は3.31ノア後楽園大会で、自身の口が語られる 【t.SAKUMA】

 もし、「最後の試合」ということではなく、引退ロードが組めるのであったならば、ぜひ実現してほしかったのが、“破壊王”橋本真也さんの長男・橋本大地との対戦だ。小橋が闘魂三銃士の中で唯一、対戦もタッグを組むこともなかった橋本さんの息子と、世代を超えて同じリングに立つ。過去と空想が交錯し、未来へ繋がる瞬間を、ぜひ体感したかった。

 また、95年10月の「WRESTLE−1」をきっかけに一騎打ちが浮上した“野獣”ボブ・サップ戦も、夢が膨らむ顔合わせだった。個人的には、総合格闘技の象徴であるオクタゴンのリングを金網デスマッチの舞台に変え、ブル中野ばりに金網のてっぺんからダイビングギロチンドロップを敢行して、青春の握り拳を突き上げる小橋が見てみたかった。

 まだまだほかにも、同期の菊地毅や四天王の田上明、まな弟子の潮崎豪やKENTA、闘魂三銃士の蝶野正洋、腎臓がんからの546日ぶりの復帰戦で初タッグを組んだ高山善廣、03年にGHCタッグ王座を争った棚橋弘至など、ゆかりの深い選手、見てみたい選手はたくさんいるが、残されたチャンスは引退試合の1マッチのみ。常に全力ファイトの小橋が、思い残すことなく完全燃焼できるような、どんなカードになるのか楽しみだ。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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