ライバル・WBC韓国代表は投手陣に不安!?=打線の軸は日本お馴染みの3人

室井昌也

国際経験豊富な強力打線

昨季、オリックスで24本塁打を放ったイ・デホをはじめ、イ・スンヨプ、キム・テギュンといった強力打線が、駒不足の投手陣をどこまでカバーできるか 【写真は共同】

 一方の打撃陣は、2大会連続出場のメンバーが15人中8人。08年の北京五輪を含めると10人が近年の国際大会と同じ顔ぶれだ。その中心となるのが、いずれも日本でのプレー経験があるイ・スンヨプ(元巨人など)、キム・テギュン(元ロッテ)、イ・デホ(オリックス)の3人。日韓での通算本塁打の合計が979本にもなる彼らだが、この3人がそろってスタメンに名を連ねる可能性は非常に低い。なぜならいずれも一塁手だからだ。この点についてリュ・ジュンイル監督は繰り返しこう答えている。
「調子が良い選手を一塁と指名打者で使い、1人は代打で起用します」

 彼ら強力スラッガーの前にチャンスをつくるのが、イ・ヨンギュ、チョン・グンウの俊足コンビだ。そして中軸から下位打線には、確実性の高い打撃を見せる、キム・ヒョンス、チェ・ジョン、イ・ジンヨンなど役者がそろっている。打線については心配ないように見えるが、リュ監督は冷静だ。

「短期決戦では良い投手が次々出てくるのでそう点は取れない。球数制限もあるので、どんな投手がどのようなタイミングで出てくるかわからないのも戦いにくい点です」

 リュ監督は前回、前々回のWBCで、サードベースコーチを務めている。過去の大会をグラウンドレベルで実感してきた指揮官の経験は、選手起用や作戦にどう反映されるのかも注目点となる。

韓国、日本以外では負けなし

 また、韓国代表の最大の特徴に、過去の国際大会でも見せたような、短期決戦での異常なまでの強さがある。前回大会で11打点を挙げ、打点王とベストナインを手にしたキム・テギュンはこう話す。
「ウチのチームは団結力があるし、誰もが国際大会では実力以上の力が出るんです」

 その言葉通り、韓国はWBCで12勝4敗という好成績を残している。しかし、日本との対戦成績は4勝4敗の五分。つまり韓国はWBCで日本以外には敗れていないのだ。
 今回の韓国代表は不安材料を抱えながらも、それをチーム力で吹き飛ばすのか。そして今回も日韓の激闘が繰り広げられるのか、興味は尽きない。

<了>

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著者プロフィール

1972年東京生まれ。「韓国プロ野球の伝え手」として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。また編著書『沖縄の路線バス おでかけガイドブック』は2023年4月に「第9回沖縄書店大賞・沖縄部門大賞」を受賞した。ストライク・ゾーン代表。

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