吉本がグローリーの刺客撃退 真弘は逆転KO勝利=RISE&M−1結果

布施鋼治

水落はムエタイ戦士撃破で3つ目タイトル奪取

本場ムエタイ戦士を撃破し3つ目タイトル奪取した水落 【t.SAKUMA】

 熱戦が繰り広げられのはRISEだけではない。ムエタイの方でもRISEに勝るとも劣らぬ熱き闘いが繰り広げられた。中でも目立った活躍を見せたのはWPMF世界王者になった水落洋祐と神村エリカだろう。
 WPMFとWBCムエタイの日本ライト級王者である水落は本場ムエタイのテレビマッチでは一番人気の7チャンネルが開催したトーナメントで優勝経験のあるノンアーン・サシプラパージムと空位のWPMF世界ライト級王座を争った。

 1R、ジャンプして水落の脳天にヒザを落とそうとするノンアーンに対して、水落は右クロスを狙う。100戦近い戦歴を誇る24歳のタイ人が組んでスリップダウンを狙ってきても簡単には崩させない。2Rになると、水落はローキックでノンアーンの下半身を破壊しにかかる。目立って動きの悪くなったタイ人に対して、水落は右ストレートで先制のダウンを奪う。さらに連打をまとめて3つめのタイトル奪取に成功した。

再起戦の神村がWPMF世界女子王者に返り咲き

WPMF世界女子王者に返り咲いた神村 【t.SAKUMA】

 今年8月のGirls S−cupでロレーナ・クラインに敗れて以来4カ月ぶりの再起戦がWPMF世界女子ミニフライ級王座決定戦となった神村は、弱冠16歳ながら120戦ものキャリアを誇るローマ・ルックブンミーと対戦した。

 1R、スピーディーなステップからローキック、前蹴り、左右のフックなど矢継ぎ早に力強い攻撃を繰り出して試合の主導権を握った神村だが、2Rになるとローマの首相撲によって持ち味を殺されてしまう。
 しかし、神村にも意地がある。3Rになると、右ストレートをクリーンヒットさせ、ローマをキャンバスに這わせた。カウントが8になってもピクリとも動けないほどのダメージをローマは負っていた。かつて防衛期間切れのために返上したチャンピオンベルトを神村は再び腰に巻いた。

 また、この日は合同イベントというだけあって、普段は組まれない異色のカードもいくつも組まれていた。RISEバンタム級1位のDykiは修斗世界フライ級王者の山上幹臣とRISEルールで一騎討ち。
 2Rに山上のハイキックでダウンを許したDykiだったが、3Rになると右フックでダウンを奪い返す。結局圧倒的な手数で試合を押し気味に進めていたDykiが2−0の判定で山上を下した。

 また今年10月のK−1両国大会で梅野源治からダウンを奪った末に判定勝ちを収めているチャンヒョン・リーは長嶋大樹からKO勝ちを収めている。
 休憩明けにはリーへのリベンジを目指す梅野が森井洋介とともにリングに登場。来年1月6日、後楽園ホールで行われる「INFINTY−II」で、キム・スンヨルとRISEルールで闘うことがアナウンスされた。同日、森井はムエタイ強豪選手と闘う予定。さらに小宮由紀博と渡部太基の一戦も発表された。今後、RISEとM−1がどのような科学反応を起こしていくのか興味は尽きない。

■RISEクリエーション/M−1MC「RISE/M−1MC INFINTY」
12月2日(日)東京・東京ドームシティホール

<メーンイベント(第15試合) スーパーファイト RISEルール −65.0kg契約 3分3R・延長1R>
○吉本光志(STURGIS新宿ジム)
(判定3−0)
●ラズ・セルキシアン(Top Team Beverwijk)

<セミファイナル(第14試合)スーパーファイト RISEルール −61.0kg契約 3分3R・延長1R>
○山本真弘(藤原ジム)
(3R2分46秒 KO※右フック)
●マンサワー・ヤクビ(Top Team Beverwijk)

<第13試合 RISEルール −55.0kg契約 3分3R延長1R>
○Dyki(TARGET)
(判定2−0)
●山上幹臣(総合格闘技道場STF)

<第12試合 RISE×M−1MC対抗戦 RISEルール −63.5kg契約 3分3R・延長1R>
○イ・ソンヒョン(韓国/仁川ムビジム)
(1R2分58秒 KO※右ストレート)
●ブアカーオ・ウィラサクレック(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム)

<第11試合 WPMF世界ライト級王者決定戦 3分5R>
○水落洋祐(はまっこムエタイジム)
(2R2分20秒 KO※パンチ連打)
●ノンアーン・サシプラバージム(タイ)
※水落が新王座に就く

<第10試合 WPMF世界女子ミニフライ級王座決定戦 2分5R>
○神村エリカ(TARGET)
(3R1分21秒 KO※右ストレート)
●ローマ・ルックブンミー(タイ)
※神村が王座に返り咲く

<第9試合 WPMFルール −58.0kg契約 3分5R>
△清水雄介(尚武会)
(ドロー 判定0−0)
△シリモンコン・PKステレオ(タイ)

<第8試合 WPMFルール ウェルター級 3分5R>
○ゲーオ・フェアテックス(タイ/フェアテックス)
(1R12秒 KO※左ハイキック)
●谷口 聡(理心塾総本部)

<第7試合 M-1ジュニア特別ルール 48kg契約 2分3R>
○那須川天心(チームTEPPEN)
KO 1R49秒 ※パンチ連打
●カオガーム・ソーターンティップ(タイ)

<第6試合 RISEルール −59.5kg契約 3分3R・延長1R>
○チャンヒョン・リー(韓国/仁川ムビジム)
(2R47秒 KO※右フック)
●長嶋大樹(ONE’S GOAL)
7
<第5試合 RISEルール −53.5kg契約 3分3R延長1R>
○高橋 藍(シーザージム)
(3R1分30秒 KO※パンチ連打)
●いつか(新宿レフティージム)

<第4試合 RISEルール −58.0kg以下契約 3分3R>
○指首祐太(STRUGGLE)
(1R1分28秒 KO※右フック)
●有松 朝(リアルディール)

<第3試合 WPMF日本バンタム級王者決定トーナメント準決勝 WPMFルール 3分3R・延長1R>
○野呂裕貴(エスジム)
(判定3−0)
●高木慎一(Wolf Kickboxing Gym)

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著者プロフィール

1963年7月25日、札幌市出身。得意分野は格闘技。中でもアマチュアレスリング、ムエタイ(キックボクシング)、MMAへの造詣が深い。取材対象に対してはヒット・アンド・アウェイを繰り返す手法で、学生時代から執筆活動を続けている。Numberでは'90年代半ばからSCORE CARDを連載中。2008年7月に上梓した「吉田沙保里 119連勝の方程式」(新潮社)でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。他の著書に「東京12チャンネル運動部の情熱」(集英社)、「格闘技絶対王者列伝」(宝島社)などがある。

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