飛躍の鍵となる若手の“潜在能力”=開幕プレビュー:オクラホマシティ・サンダー編

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ハーデンを放出し、更なる潜在能力を蓄えたサンダー

チームの成功の鍵を握る3季連続得点王のデュラント 【写真:AP/アフロ】

 この夏の前には、サンダーがこの先何年もウエスタン・カンファレンスを支配すると見られていた。だがレイカーズがスティーブ・ナッシュとドワイト・ハワードを獲得する大型補強を行い、ディフェンディング・チャンピオンであるヒートの対抗馬として急浮上。

 サンダーがファイナルに進出できる可能性は下がり、例え進出したとしても、チャンピオンとなったロースターから上積みしたヒートに、ロースターをほぼ変更しなかったサンダーが対抗できるか不安が残る。

 サンダーが行った今オフの動きでは、昨季のシックススマン賞を受賞したジェームス・ハーデンの放出に驚かされた。サラリーキャップの関係で放出となってしまったが、もう1年同じメンバーでプレーし、シーズン終了後にサインアンドトレードや、他のプレイヤーを動かす手段もあったが、サンダーは今動くことを決断した。

 短期的に見れば、ハーデンの放出はサンダーにとってマイナスだろう。エースのケビン・デュラント、ラッセル・ウエストブルックとのトリオは見ていて面白いものだったが、それが崩壊。ハーデンのキャリア平均12.7得点に対し、新たに獲得したケビン・マーティンのキャリア平均は18.4得点だが、絶対的な存在のデュラント、ウエストブルックを擁するサンダーでは持つポテンシャルの全てを発揮することはできないだろう。

 しかし、悪い話ばかりではない。サンダーはハーデンとともにディカーン・クック、コール・オルドリッジ、ラザー・ヘイワードを放出し、見返りにマーティン、ジェレミー・ラム、ドラフト1巡目指名権2つと2巡目指名権を手にした。
 ルーキーのラムより、ハーデンの方が良いプレイヤーであることは明らかだが、長い腕を生かしたディフェンス、アウトサイドシュートには定評がある。チームにはハーデン以上にフィットする可能性が多いにある。

 というのも、昨季のサンダーはディフェンスにやや難を抱えていた。昨季のオフェンシブエフィシェンシー(100ポゼッションあたりの得点)はリーグ2位だったが、ディフェンシブエフィシェンシー(100ポゼッションあたりの失点)は9位に終わった。9位は悪くはないが、ヒートとのファイナルの第2戦から第5戦の4試合ではディフェンシブエフィシェンシーは113得点で、ディフェンスの安定感をより増したいところだった。これが、ラムの獲得によりチームのディフェンスの安定感が増す可能性がある。

 チームの中心である、3年連続リーグ得点王のデュラントは24歳になったばかり。ウエストブルックも11月に24歳になる。サージ・イバカはオフに23歳になった。焦らずともサンダーには時間がたっぷりあるのだ。短絡的に見れば優勝戦線から一歩引いた感のあるサンダーだが、ラムや3つのドラフト指名権がチームに大きな影響を与える可能性は大いにある。

 今季に関して言えば、デュラントが今季はPF(パワーフォワード)でプレーする機会を増やすと語っていたが、そうすればヒートのポジション枠にとらわれないラインアップにより良くマッチアップできるかもしれない。ヒートと対するのは、レイカーズの大型フロントラインと対するのとはかなり違うが、駒はそろっているためロースターに柔軟性を持たせることができる。サンダーのスコット・ブルックスHCは、「攻守両面にわたって改善し、どのチームとでもマッチアップできる自信がある」と語り、昨季の雪辱に自信を見せている。相手に合わせたデュラントの起用法が成功の鍵となるだろう。

【2011−12シーズンスタッツ】
47勝19敗
ノースウェストディビジョン1位

【グレード】
フロントコート:A−
バックコート:B+
ディフェンス:B+
ベンチ:C+
コーチ:B
総合:B+

<了>

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