閃光復活エイシンフラッシュ! 殊勲ミルコ、両陛下に最敬礼=天皇賞・秋
エイシンフラッシュが復活V、騎乗したデムーロは天皇皇后両陛下に最敬礼 【写真:中原義史】
エイシンフラッシュは今回の勝利で通算20戦5勝(海外1戦0勝含む)、JRA重賞は2010年GI日本ダービー、同年GIII京成杯に続く3勝目。騎乗したデムーロ、同馬を管理する藤原英昭調教師ともに天皇賞・秋は初制覇となる。
一方、半馬身差の2着には蛯名正義騎乗の1番人気フェノーメノ(牡3=美浦・戸田厩舎)、さらに1馬身1/4差の3着にはイオリッツ・メンディザバル騎乗の2番人気ルーラーシップ(牡5=栗東・角居厩舎)。また、無敗の天皇賞制覇が期待された秋山真一郎騎乗の3番人気カレンブラックヒル(牡3=栗東・平田厩舎)は5着に敗れた。
「I LOVE JAPAN。日本のみなさんを愛しています」
歓喜のウイニングラン、スタンドに向けて両手でハートマークを作り日本のファンへ感謝を示した 【写真:中原義史】
「I LOVE JAPAN。日本のみなさんを愛しています。特別な日に勝つことができて、本当にうれしい。僕の日本に対する感謝の気持ちを表しました」
1999年の初来日から13年。2003年にネオユニヴァースで皐月賞・日本ダービーの二冠を制し、2011年の震災直後にはネオユニヴァースの仔・ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ制覇、涙とともに日本に希望のニュースを届けた。もはや日本人ジョッキーと言っても大げさではないくらい、日本の競馬ファンから愛されるイタリア人ジョッキーが、この最敬礼の瞬間は荘厳なナイトに映ったファンも多いだろう。それほどまでに感動的なシーンだった。
調教師もしびれた絶好ポジション、イン強襲突き抜けた
ぽっかりと空いた最内1頭分のスペースに突っ込み豪脚炸裂! 【写真:中原義史】
「この枠順をどう使えばエイシンフラッシュが最大限に力を発揮できるか、この点に関してはミルコと長い時間かけて話し合いました。まさにその通りの位置からの競馬になり、あれは凄かったですね。シビれました」
最内の経済コースをスルスルと進出し、直線に入ると一方では前方のシルポートが脚をなくして脱落。普通ならこの失速してくる先行馬が壁になる危険性もある最内コースなのだが、「運も味方した。ビクトリーロードでした」とデムーロ。ポッカリと空いた内ラチ沿いスレスレ1頭分のスペースへ迷わず突っ込み、2年前のダービーを思い出させる閃光のような末脚を爆発させた。上がり3F33秒1はメンバー最速タイ。一気に突き抜け、勢いある3歳馬、同期のライバルをまとめてねじ伏せた。
「馬の力を信じていました。レース中はとにかくリラックスして走らせようと思っていたんですが、思い通りのレースができましたね。直線もすごくいい反応を見せてくれました」
待ってろ三冠馬、最強の称号かけJC・有馬で勝負だ
順調なら今後はJC、有馬記念へ――三冠馬、三冠牝馬と勝負だ! 【写真:中原義史】
「幸いミルコは日本語が通じますから(笑)、エイシンフラッシュの感触を確かめてもらいながら、セールスポイントを伝えてきました。馬自身の出来に関しても、これまではどこがピークが分からない部分もあったんですが、きょうだけはピークであると確信できる出来でしたからね」
馬体重マイナス8キロも予定通りの絞り方で、“完ぺき”だったとトレーナー。最強世代のダービー馬の底力を、ついに思い出の舞台・府中で復活させたのだ。
今後のローテーションについて、藤原英調教師はオーナーと相談してからと、と前置きしつつも、「王道のジャパンカップ、有馬記念へ」と明言。ただし、ジャパンカップに関しては短期免許の関係で「その週だけ免許をもらっていないんです。JRAに特別に騎乗できないか、お願いしたいです」とデムーロが明かしたように、調整が必要になりそうだ。
いずれにせよ、劇的に復活した最強世代のダービー馬。1つ年下の三冠馬、2つ年下の三冠牝馬に主役を奪われたままでは当然すませない。来たるジャパンカップ(11月25日、東京2400メートル芝)、有馬記念(12月23日、中山競馬場2500メートル芝)、真の最強の称号をかけ、いざ勝負だ。