イタリア代表はアイデンティティーを取り戻せるか=W杯予選で見せた悪しき伝統と今後への希望
「これほど苦しかったことはなかった」
チームの不本意な出来に「失ったアイデンティティーを探さなければならない」と苦言を呈したプランデッリ監督 【Getty Images】
苦戦の要因はコンディションによるものか、モチベーションの欠如によるものか、プランデッリにとっても不可解なことかもしれないが、無意識のうちに緊張感が欠如していたことが少なからず影響していたと思う。
今回のW杯予選に対するイタリア国民の興味は、驚くほど低い。サッカーの話をすることが多い僕の周りのイタリア人でも、この日に代表チームがブルガリアと試合をすることを全く知らない人が数人いたし、知っている人でもそれほど興味を持ってはいなかった。このような一般人の無関心な雰囲気は、選手たちのモチベーションにも少なからず影響を与えることだろう。
11日に行われる試合はイタリアが所属するグループ(ブルガリア、デンマーク、アルメニア、チェコ、マルタ)で、最弱と思われるマルタとのホームゲームである。大量得点による圧勝でもおかしくない相手だが、格下に苦戦するのがイタリアの伝統だ。この試合は5月末に地震の被害を受けた地方の住民を励ます意味を込めて、モデナで行われるが、あまり代表チームの試合を見る機会がない人たちの温かい声援が選手のモチベーションを少しは高めてくれるかもしれない。
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