バレー女子、経験と戦術に勝るブラジルに完敗=元日本代表の大山加奈が解説

構成:田中夕子

悪いところばかりが目立ったが、守備面に光明も

悪いところが目立った日本だが、佐野(左)を中心にサーブレシーブ、レシーブなどの守備面は安定感を誇った 【写真:AP/アフロ】

 結果として悪いところばかりが出た試合でしたが、いい面もありました。
 あれだけ狙われていたにも関わらず、新鍋(理沙=久光製薬)選手のサーブレシーブが試合を通してほとんど崩れることはありませんでした。ブラジルがさらに素晴らしい安定感だったので、劣っていたように見えますが、日本のサーブレシーブも常に安定していました。

 さらに、シェイラ・カストロ選手、フェルナンダ・ガライ・ロドリゲス選手といったブラジルが誇る攻撃も、佐野選手、竹下選手がレシーブし、ライトへ切り込む大友(愛=JT)選手の攻撃で得点する場面も見られました。決して悪い面ばかりではありませんでした。

 ただ、それ以上にブラジルが素晴らしかった。
 前回優勝チームながら、今大会はあわや予選リーグ敗退かというところまで追い込まれたところから、ブラジルは勝ち上がってきました。日本も同様に、「大一番」と銘打った中国戦で劇的な勝利を挙げ、勢いはあったはずですが、決勝に向けての照準を含め、経験に勝るブラジルの勝負強さ、完成度の高さは圧巻でした。

銅メダル懸け、最終予選で敗れた韓国と対戦

 残念ながら決勝進出はかないませんでしたが、まだまだ勝負は終わっていません。韓国との3位決定戦が残っています。
 韓国は高い攻撃力を持つ、エースのキム・ヨンギョン選手が中心のチームです。さらに今大会は予選リーグでブラジルにストレート勝ちを収め、準々決勝ではイタリアを3−1で下して勝ち上がってきました。大会を通して成長と進化を続けている、実に厄介な相手です。
 
 お互いにとってメダルを懸けた大事な1戦。まさに総力戦となる試合で日本が勝利するためのポイントは、中国戦のようにサーブで攻めること。そして、キム選手以外の攻撃陣は封じること。最終予選では敗れた相手ですので、その反省を生かして、攻めることが勝機につながるはずです。
 ブロッカーは「抜かれてもレシーバーが上げてくれる」と迷わず飛んで、セッターは「アタッカーが決めてくれる」と打ちやすいトスを上げ、アタッカーは「たとえブロックされても、またつなげてくれる」と思い切り打つ。
 仲間を信じて、最後の一戦、勝って終わりましょう!

<了>

大山加奈

【大山加奈】

 1984年6月19日生、東京都江戸川区出身。小学校2年の時に地元のクラブでバレーボールを始め、小中高で全国制覇。特に成徳学園高3年時には春高バレー、インターハイ、国体の3冠を達成した。
 その年に初めて全日本に選出されると、同じく高校生でメンバーに選出されていた栗原恵(現:岡山シーガルズ)とともに「メグカナ」コンビとして人気を博す。高校卒業後は東レに入社。ワールドカップ、アテネ五輪に出場する。2007年ごろから椎間板ヘルニアなどのケガに苦しみ、10年に26歳で現役を引退。日本バレーボール機構への出向を経て、現在は東レに広報担当として勤務するほか、バレーの指導、普及活動にも携わっている。

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著者プロフィール

1976年神奈川県生まれ。日本大学短期大学部生活文化学科卒業。なぜか栄養士免許を有する。神奈川新聞社でのアルバイトを経て、月刊トレーニングジャーナル編集部に勤務。2004年からフリーとしての活動を開始。高校時代に部活に所属したバレーボールを主に、レスリング、バスケットボール、高校野球なども取材。

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