山口螢と扇原貴宏、快進撃を支えるボランチコンビ
お互いにとってのベストパートナー
扇原(左)はスペイン戦で大津の決勝ゴールをアシスト。試合が進むごとに調子を上げている 【写真は共同】
基本的にはそういった補完関係でコンビが成り立っているが、その逆のプレーも彼らはこなせる。ユース時代は10番を背負って攻撃的な位置でプレーしていた山口はパス精度も高く、攻撃的なセンスにも長ける。
一方、ユース時代はセンターバックの経験もある扇原は、ピッチ外での端正なルックスとは対照的に、ピッチ内では闘争心をあらわにし、泥臭い守備も厭わない。状況に応じて役割を臨機応変に変えることができるのは、チームにとっても強みだ。
また、ユース時代の最高学年次には2人共に主将を務めるなど、山口と扇原はキャプテンシーも備えている。「螢君は、言葉数は少ないけど、いつも背中で僕たちを引っ張ってくれた。頼もしい存在でした」。“山口先輩”についてそう話す扇原自身、山口からキャプテンマークを引き継いだ際は、スタッフや選手間の投票で主将に選ばれている。
お互いについては、「タカのことは全部信頼している。僕にとってのベストパートナー」(山口)、「僕も螢君とはやり易いし、楽しい」(扇原)と認め合う。具体的なプレーに関しては、「タカが攻撃でプレーしやすいように、僕は守備を頑張ります」と山口が話せば、扇原も、「螢君はもっと攻撃参加したいはず。自分も螢君の守備の負担を減らせたら」と先輩を気遣う。扇原とのバランスや信頼関係があるからこそ、山口はスペイン戦やモロッコ戦の終盤、思い切りよく前線まで攻め上がることができたとも言える。
メンタル的なタフさが彼らを支えている
ピッチ外では今時の若者らしくクールな振る舞いをする2人だが、メンタル的なタフさが彼らを支えてもいる。スペインに勝利した直後もわれを忘れることなく、インタビューで扇原は、すぐに次戦に目を向けた落ち着き払ったコメントを発していた。7月2日の本大会に臨む18人のメンバー発表時から、「大会でもコンビを組みたい」と口をそろえていた2人。「2年前は想像もできなかった」(扇原)“夢舞台”で、どこまで突き進むことができるのか。「いい経験で終わらせるのではなく、出るからにはメダルを狙う」(山口)。この言葉を現実のものにするべく、最後まで戦い抜いてほしい。
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