団体メンバー数縮小、一段と厳しくなった五輪代表争い=体操NHK杯

日本体操協会:遠藤幸一

団体メンバーは6名から5名へ

全日本選手権で優勝した内村航平(右)と田中理恵。内村はすでに五輪代表に内定している 【坂本清】

 大きな目標として4年に1度の五輪をあげる体操選手は多い。そして来る5月4、5日、代々木第一体育館で開催されるNHK杯において、その五輪に出場する日本代表選手が決まる。この機会に代表になれるのかどうか、選手たちはその緊張感と戦いながら、直前の時間を過ごしていることだろう。

 ところで、今回の五輪の団体のメンバーはこれまでの6名から5名に減ったことをご存じだろうか。団体総合予選はこれまで6名の登録選手の中から各種目5名が演技し、その上位4名の得点合計が団体得点となっていた(6−5−4制)。そして団体順位8チームが団体決勝へ進出し、団体決勝では6名の登録選手の中から各種目3名が演技し、そのすべての得点合計が団体得点となり、メダルを争っていた(6−3−3制)。

 ところが、IOCによる大会規模縮小の方向性は、野球やソフトボールの削除にとどまらず、体操界にも及んだ。そもそもメダル獲得機会がとても多く、個人競技である体操競技において、なぜ団体戦をやらなければならないのか疑問視する声もあり、五輪において団体戦は5名で行うことになったのである。こうしてロンドン大会では団体予選を5−4−3制、団体決勝を5−3−3制で行う。

五輪代表内定の内村も出場予定

 男子においてこのルール改正における対策は、すでに昨年10月に東京で開催された世界選手権である程度行われていた。米国、ドイツは団体予選において6名中4名が全種目を演技し、5名に減った場合でも対応できるチーム力を示した。それに対して中国は全種目演技したのはただ1名。種目別で金メダルを獲得できる選手を擁しているが、誰を1名削るのか悩ましい選択を余儀なくされる。

 一方、日本は最初から個人総合を重視した取り組みにより大きな影響はない。特に、個人総合で世界選手権3連覇を果たしている内村航平(KONAMI)は、種目別においても決勝に残る実力をつけており、団体、個人、種目別のすべてにおいて驚異的な存在になっている。すでに代表に内定しているが、このNHK杯も、ロンドン五輪での活躍のために出場を予定している。

 男子4名、女子5名の日本代表が決定する今大会、一つの取りこぼしが代表争いに大きな影響を及ぼす。そう考えると今までにない哀歓のドラマを目の当たりにするのではないだろうか。

<了>
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著者プロフィール

1961年東京生まれ。日本体操協会常務理事・総務委員長。体操の金メダリストである父親を持つものの、小学、中学はサッカーに明け暮れていた。高校で体操に転身。国際ルールのイラストレーターとして世界中の体操関係者にその名を知られている。

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