統一戦に臨む清水智信「一度は引退も考えた」=4月4日・WBA世界Wタイトルマッチ

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2011年8月にウーゴ・カサレスを破ってWBA世界スーパーフライ級の王座を獲得した清水 【写真:AP/アフロ】

 4月4日、WBA世界バンタム級タイトルマッチ「王者/亀田興毅(亀田) vs. 同級12位/ノルディー・マナカネ(インドネシア)」、WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ「第20代王者/清水智信(金子) vs. 第21代王者/テーパリット・ゴーキャットジム(タイ)」のダブル世界戦が横浜アリーナで開催される。

 昨年に悲願の王座を獲得しながらもケガにより休養王者となった清水は、その間に正規王者に格上げされたテーパリットとの統一戦に臨むことになる。自身が休養王者とされる過程に納得がいかず、一度は引退も考えたという清水が、様々な想いとともに試合に向けての意気込みを語った。

「色々な人のおかげで乗り越えることができた」

――清水選手は昨年8月にウーゴ・カサレス(メキシコ)選手に勝利してWBAスーパーフライ級のタイトルを獲得しましたが、ケガを理由に休養王者とされ、一方暫定王者だったテーパリット選手が正規王者になり、亀田大毅選手(亀田)とのタイトルマッチを制して、正規王者として初防衛を果たしました。現在、スーパーフライ級には清水選手とテーパリット選手という二人の正規王者がいる状況についてはどう思いますか?

 自分が休養王者にされた時、何のためにこれまで自分がボクシングをやってきたのか意味がよく分からなくなりました。ボクシングはスポーツだと思ってやってきたけど、選手自身の力の及ばないところで王者が新しく生まれるような状況を見たわけです。僕はこれまで人生を懸けてこのボクシングをやってきたけど、それをバカにされたというか……、これでは今までみたいに戦えないと思った時期がありました。ボクシング自体を嫌いになったわけじゃないけど、それを取り巻く状況に嫌気がさしていました。

 だから本当にたくさん思うことはあったし、一度は引退も考えましたが、色々な人の支えのおかげでなんとか乗り越えることができました。今は試合が決まった以上、あとはやるだけという心境。リング上で証明するだけだと思っています。

――そのように引退を考えていた頃も練習は普通にできていましたか?

 練習自体はいつも通り普通にやっていましたけど、ロードワークしていても何のためなのか分からなくなって、急に立ち止まってしまったり……。練習に臨むモチベーションはやっぱり下がっていましたね。でも、年が明けて試合が決まって、葛藤は色々ありましたが、やるしかないっていう気持ちに切り替わりましたね。

 本心を言うと、やっぱり興行の面などで納得いかないことは多々あります。ただ、それを言っていてもどうしようもないし、ジムの関係の問題もある。選手がどうこう言って解決するような問題ではない。とにかくリングで結果を出すしかないという気持ちですね。
 今回の試合については、心境的には『防衛戦』だというような気持ちは全くないんです。とにかく、溜まっていた気持ちを出し切るしかないなと。勝つというのは当然ですが、全て出し切ることができれば、万が一負けたとしても『自分の力不足だった』と納得してスッキリすることができるし……。この問題については今回の試合で全て決着を付けたい。とにかくそれですね。周りの状況は全てシャットアウトして、今は試合に集中したいと思っています。

――清水選手が休養王者になった過程については、ボクシングファンにとっても疑問符を付けたくなる点はありましたが、大毅選手との試合で見せたテーパリット選手のパフォーマンスを見る限り、今回の対戦は好カードとしてファンも逆に期待できるマッチメイクになった部分もあると思いますが?

 確かにテーパリット選手はすごく強いという評価もされていますし、プライドとプライドの戦いになると思います。全部ぶつけるしかない。ただ、そこが難しいんですよね(笑)。そういうことで気負い過ぎてしまうと、自分のボクシングじゃなくなってしまいますからね。心はホットに頭はクールにやらないと!

減量は問題なし! 接近戦にも自信

――試合まであとわずかですが、現在のコンディションは?

 ケガ(右眼窩底骨折)はしましたが、それは全く問題ないです。減量についても、前よりは多少身体は大きくなりましたが、僕は元々フライ級の選手なので、そんなにハードだというわけではありません。ポイントは、いかに筋肉を落とさずにスーパーフライの体重に持っていくかですね。

――スーパーフライ級での戦いは、タイトルを獲得したカサレス戦が初めてでした。やはり、階級の差というものは感じましたか?

 カサレス戦では相手の身体が一回り大きくて、パワー面についてはフライ級との差は感じました。今回は、スーパーフライの体重に合わせてウェイト・トレーニングをやって、身体は作ってきたつもりです。

――テーパリット選手に対する印象は?

 大毅選手との試合も見ましたが、パンチがあって、スピードも手数もあり、勢いが強いという印象です。積極的に中に入ってきますし、自分のスタイルとは反対の選手ですよね。だんだんと向こうのリズム、タイミングはイメージできてきています。気を付けたいのは踏み込みの早さ、あとは右のパンチが強いという印象ですので、そこは警戒すべき点ですね。

――清水選手としては、やはり簡単に打ち合わずに距離をとって?

 打ち合うところは打ち合わないといけないし、逆に相手を下がらせるようなプレッシャーもかけないといけないと思います。状況を考えながらですが、自分としても接近戦に自信がついてきたし、スーパーフライで戦える身体を作ってきたつもりなので。色々な作戦を考えていますが、絶対に相手はガンガン前に出てくると思うので、そこで単に足だけ使っていてもしょうがない。いかに相手が前に出てこられないようにするか、というのは考える必要がありますね。

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