G大阪、“救世主”ラフィーニャと共に突き進む=リーグ最強の攻撃力で6年ぶり王座奪還へ
アドリアーノ、宇佐美の離脱を乗り越えて
アドリアーノの後釜として加入したラフィーニャ(右から2人目)が、期待以上の働きでチームの好調を支えている 【写真は共同】
ここまでの28試合で17勝6分け5敗という結果を残しているG大阪にとって大きかったのは、チーム編成が動いた後に崩れなかったことだ。それが今の順位につながっていると言える。6〜7月にかけて、アドリアーノがカタールのクラブへ、宇佐美貴史がバイエルン・ミュンヘンへとそれぞれ移籍(宇佐美は期限付き移籍)。07年のマグノ・アウベス、08年のバレー、09年のレアンドロに続いてブラジル人ストライカーが引き抜かれただけでなく、宇佐美までチームを離れることになったことは、大きな戦力ダウンになると考えられた。それまでの8試合で9得点を挙げ、新エースとして活躍していたアドリアーノと、5月にA代表にも初選出された若き天才が不在となるのだから、周囲の不安が大きくなるのは当然のことだった。
しかし、現在、そのダメージが感じられる状況かというと、そうではない。もちろん彼らがいればさらに良い状況になっていたとも考えられるが、彼ら、特にアドリアーノが不在となったことで逆にプラスに働いている部分もあると感じられるのが現状だ。そう感じさせる要因は、アドリアーノの後釜としてシーズン途中に加入したラフィーニャの存在にある。ザスパ草津に所属していたラフィーニャは、国内ではJ2でのプレー経験しかなく、J1でどこまで通用するかは未知数の部分もあったのだが、実際には早々にフィットし、期待以上とも言えるパフォーマンスでチームの好調を支えてきた。
ラフィーニャの加入がG大阪らしさを取り戻すきかっけに
そのラフィーニャは、自身のプレーで半信半疑だった周囲から一気に信頼を勝ち取った。移籍後初出場となった7月27日の第10節鹿島アントラーズ戦で途中出場ながら1ゴール1アシストと鮮烈デビューを果たし、続くジュビロ磐田戦、アビスパ福岡戦でも得点、第22節・川崎フロンターレ戦ではハットトリックと早速ゴールを量産したことはもちろんだが、彼のプレースタイル自体がG大阪に合い、自身とチームの力を引き出した。
今季序盤のG大阪は、アドリアーノのスピードを生かした攻撃が主となり、意図的にカウンター気味の戦いをすることで得点を重ねていたが、引いて守ってくる相手に対しては苦しむことが多く、バリエーション不足が否めなかった。そんな中で加わったラフィーニャは、遠藤保仁曰く「万能系」。自ら突破できるだけでなく、中央でポストプレーをこなすことができるタイプであり、ボランチや最終ラインからのクサビのパスを受けてはシンプルに周りを使い、動き直してゴール前で勝負するというプレーを繰り返し、G大阪らしい攻撃を取り戻すきっかけを作った。
「ボールを収められるから、後ろの選手も出て行きやすい。彼が入って攻撃に厚みが生まれたと思う。簡単に使うところは使ってくれるし、やりやすい」(二川孝広)、「本当に予想外というか、数カ月前に入った選手とは思えないほど素晴らしくガンバにフィットしていると感じている。鹿島戦からのラフィーニャ。やっぱりそこがすごく大きかったと思う」(西野監督)という評価を聞けば、今回の補強がいかに成功だったかが分かる。