ボルト「“伝説”に近付くための一歩」 ジャマイカ勢が抱負語る=世界陸上

構成:及川彩子

得意の矢を射るポーズを見せたボルト。世界陸上で伝説への一歩を踏み出すのか!? 【Getty Images】

 27日のテグ世界陸上開幕まで、あと2日と迫った25日、大会を前にジャマイカ陸連主催の記者会見が行われ、ウサイン・ボルトをはじめ、ジャマイカの有力選手たちが試合前の抱負を語った。また、24日には女子100メートル、同200メートルのベロニカ・キャンベルと男子100メートルのヨハン・ブレイク(ともにジャマイカ)の会見が行われた。

 25日の会見に参加予定だったアサファ・パウエルは急きょ欠席し、その後、左足股関節のけがにより今大会への欠場が伝えられた。パウエルの欠場により、男子100メートルへの関心はヒートダウンしたが、最大のライバルと見られていたパウエルの不在で、ボルトの連覇の可能性が一気に高まった。

 以下、選手のコメント。

ウサイン・ボルト(男子100メートル、同200メートル:世界記録保持者)

――今大会でも世界記録を出せそうか?

 今シーズンは自分にとって、けがからの「復帰」と位置付けているシーズン。もちろん、速く走りたいと思っている。大会が近付いて、気持ちも高まってきて、集中できてきている。

――プレッシャーはあるか?

 皆、僕に大きなプレッシャーをかけている。だから、プレッシャーはいつもある。そういった意味ではいつもと同じ。同じことをするだけ。

――“伝説になりたい”と話していたが、現在はどう感じているのか。今大会はどういう意味を持つのか。

 今大会で勝つことは大事な意味を持つ。この世界陸上は、「伝説」に近付くための一歩になると思う。僕がもう「伝説」だと言う人もいるけれど、自分はそう思わない。

――パウエルの欠場が発表されたが。

 え、そうなの?初めて聞いた。昨日(24日)、会ったけれど……。

ヨハン・ブレイク(男子100メートル:今季ベスト9秒95)

――大会での抱負は?

 自分の持っているベストを完全に出し切りたい。素晴らしい選手たちと走れるのが楽しみ。今季ベストはシーズンの早い時期に出したので、それは良かった。自分がメダルを取れるチャンスは、ほかの選手と同じくらい。

――アト・ボルドン氏(トリニダード・トバコ出身、1997年大会200メートル金メダリスト、現在TV解説者)が、100メートルは1位パウエル、2位ブレイク、3位ボルトと予想していますが。

 それはあくまでも予想だ。自分の走りを出し切りたい。

シェリー・アン・フレイザー・プライス(女子100メートル:北京五輪、2009年ベルリン大会金メダリスト)

――けがで苦しみましたが。

 ふくらはぎのけがで休まざるを得なかったのは、良かったことだと思う。スプリンターは、いつも健康でいられるものじゃない。もっと早く、と思って体を酷使するとけがにつながるから。休まなければならない状況になって逆に良かった。

――連覇は可能か?

 さぁ、月曜日(29日)に結果が分かるわ。

――早く走るための秘密などは?

 秘密なんてないと思う。私は神に才能を与えられたと思う。陸上競技を続けるのは優しいことじゃない。強い精神力と肉体が必要。

ベロニカ・キャンベル(女子100メートル:2007年大阪大会金メダリスト、同200メートル:09年大会銀メダリスト)

――今季は100メートルで10秒76(追い風1.1メートル)の自己ベストを出しているが、自信は?

 自己ベストを持って大会に臨めるのはいい気分。大会では自分のベストを尽くして、サポートしてくれる人たちに恩返しをしたい。集中して、大会に臨みたい。

――前回大会は残念な結果に終わったが。

 2009年のベルリン大会は昔のこと。あの時の失望感はもう過去のものとして、今回はここで戦えるのを楽しみにしている。

――長年のライバル、アリソン・フェリックス(米国)との対決があるが。

 アリソンは世界陸上の200メートルで3回金メダル、私は五輪で2回金メダルを獲っている。またここで(アリソンを)たたけるのが楽しみ。ただ、ライバルはアリソンだけじゃないし、ほかの6選手もいる。アリソンは大会前半で400メートルを走るので、それがどう影響すのか分からないけど、今回は勝たせてもらうわ(笑)

メレイン・ウォーカー(女子400メートルハードル:北京五輪、2009年ベルリン大会金メダリスト)

――調子は?

 昨季のけがの影響で出遅れていたけれど、世界選手権だから、いい走りをしたい。

――チームメートのカリース・スペンサーという挑戦者との戦いになるが。

 楽しみ。カリースとはここ2年くらい一緒に練習していて、いつかこういう場で戦うことになるだろう、いつカリースが挑戦状をたたきつけてくるかと思っていた。彼女はいい選手。けがの影響があるが、自分の強みは大舞台での経験。それに私はタフなので、ベストを尽くしたい。

カリース・スペンサー(女子400メートルハードル:今季世界ランク1位の52秒79)

――抱負は?目標タイムなどは?

 自分の力を出し切るだけ。そうすればタイムが付いてくると思う。

<了>
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著者プロフィール

スポーツライター。駒沢大学卒業後、MBA取得のため渡米したものの、ボールパークの芝生の美しさに魅了され、スポーツライターに転身。現在、ニューヨークを拠点に、メジャーリーグ、マイナーリーグ、サッカー、陸上、ゴルフ、障がい者スポーツなどの取材、執筆を行う。ニューヨークシティマラソンで障がい者ランナーの伴走をする女性を描いた『伴に走る』で2006年さいたま市スポーツ文学賞の大賞受賞。天然芝を見ると走りだす癖を持つ。(twitter: @AyakoOikawa)

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